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二兎追う方法、教えます
【学園物 官能小説】

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兎の宴 前編-8

「つ……ツキコ、さん」
「さん、は要らないわ」

 俺の努力を、ツキコはあっさり否定した。
 呼び捨て。男と女が名を呼び捨てにしあうというのは、一定以上の関係にある証拠だ。
 ツキコはヨウコの席に座って、それを認めさせたいのだろうか。
 もちろんそんなはずはなかった。ツキコは俺とヨウコの関係を知らないはずだから。
 この状況は、たまたまである。でも、何か意味ありげに感じた。
 ツキコがそれを感じさせる風に、俺をじっと見つめている。
 この緊張感は何だろうか。ツキコは、ただ俺から名を呼ばれるのを待っていた。
 唇が乾いてきた。頭の中に、彼女の名を思い浮かべる。ツキコ。ツキコ。

「ツ…………ツキ、コ」
「――――もう一度、言って」
「――ツキコ」

 何かツキコに丸裸にされたような、物凄い羞恥心を感じる。
 頭の中がカーッと熱くなった。ツキコはそんな俺を、熱い目で見つめている。

「何か、命令してみて」
「え? 命令? じゃあ……見せて」
「バカ……エッチ」
「なんだよ。命令してって言うから」
「――――名前。呼んでから、命令して」
「えっと……ツキコ、見せて」
「――はい」

 ツキコが考えたのか、突然謎のシチュエーションでのやりとりが始まった。
 彼女の何かの潜在的な欲求なのだろうか。
 しかし、擬似メイド服姿のツキコは、俺のエロ要求にはいと答えたのだ。
 思わずドキリとした。
 桜色に頬を染めたツキコの白い手が、ワンピースの裾にのろのろと伸びていく。
 俺の命令にほんとうに従うのか。それは、つまりツキコのあの部分が――
 ヨウコなら、妖しげな目つきで俺を見つめながらでも、それをやってしまいそうだ。
 だが、目の前に居るのは、いつもは真面目なツキコだ。
 彼女にやらせていいのだろうか。何か危険な扉を開こうとしているのではないか。
 俺は様々な葛藤を抱え込みながらも、ツキコの行動を黙って見ていた。
 やはり見たいのだ。裾を掴んだツキコが、ゆっくりと、めくりあげる。
 白い太ももがどんどん顕になっていく。俺は、ごくりと唾を呑んだ。
 もう引き返せない。何もかも引き返すことが出来ない。
 そう思った瞬間、ついに裾はめくりあげられて、ツキコの股間が――顕にされた。


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