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二兎追う方法、教えます
【学園物 官能小説】

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兎の宴 前編-7

「どうしても、見たいの?」

 伏し目がちではあったが、ツキコははっきりとした口調でそう言った。
 俺はそれを聞いて、ドキリと心臓に衝撃を受けた。
 これ以上の行為を諦めるつつあった俺に対し、ツキコは受け入れる準備をしていたのだろうか?
 見たいに決まっていたが、安易に見たいと言ってしまっていいのだろうか。
 また彼女に心労をかけることになるのではないか。
 しかし、見たいか聞いてきたツキコに、やっぱりいいやなどとも答えられない。
 しばし熟慮の末に、俺は言った。

「――見たい」

 ツキコは俺の言葉にビクリと体を震わせると、近くにあった椅子にもたれかかるようにして座り込んだ。
 会長の椅子だった。普段はヨウコが座っている大きめの豪勢な椅子である。
 ツキコは俯いたまま、鍵、とだけ呟いた。
 そういえば、まだこの部屋の鍵を閉めていなかった。
 しないまま、際どいやりとりが続いていたのだ。
 この部屋に用事があるのは、他にはヨウコしかおらず、彼女は当分来ることが出来ない。
 とは言え、何が起こるか分からないので、鍵をしておくに越したことはなかった。
 言われたとおりに、鍵を閉めた。完全に、ツキコと二人きりの世界が出来あがる。
 いつもとは違う、メイド姿のツキコ。
 やや丈の短いワンピースから伸びる白い太もも。その奥には既に下着が無い。
 俺が先程脱がしているからだ。太ももの奥には、もう隠すものが何も無い。
 そう考えると、太ももの見え方がまた違って艶かしく見えてくる。
 しばらく沈黙の時が流れたが、ツキコが俺を呼んだ。
 俺は、妙に豪華な会長席に座るツキコと正対する。そして、ツキコが呟いた。

「あのね、ハヤカワさんて呼ばれるの、嫌だわ」
「それは、だってそっちもタムラ君て呼ぶだろう?」
「…………そうだけど」
「何て、呼べばいいんだ?」
「名前で、呼んで欲しい」

 今更なやりとりだと思った。昔は、ツキコと呼び捨てにしていたのだ。
 彼女もリクオ君と呼んでいた。いつの間にか、苗字で呼び合うようになり、それ以降は最近まで話す機会すらあまり無かった。
 なかなかツキコという名前が口から出て来なかった。
 たかが名前を言うことが、何故こんなに難しいのだろう。昔は、言えていたのに。
 俺は口をパクパクさせながら、ようやく一言呟いた。


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