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ホワイトライ
【悲恋 恋愛小説】

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ホワイトライ-5

それは最も単純であり
そして最も困難である

生きる意味を失い陥る
残酷なる現実という名の壁
悲愴なる時間という名の路
そこは喪失という名の迷宮

深き暗い闇に包まれ
手探りでしか先へ進めぬ

彷徨えど彷徨えども
光ある出口は見つからず

いくら助けを求めども
光なる答えは返ってこない





―ガチャ―

しかし突然
今では開かずとなった
その未来への扉が開き

迷宮の闇を切り裂く
一筋の光が射し込む

「お兄ちゃん……」

それは
神の所業か
悪魔の悪戯か
あるいは運命なのか

今では不要となった
クシャクシャになった
楽譜を
妹に捧げるはずの
その楽譜を

ゆっくりと拾い上げる
細い腕

見慣れたはずの光景
当たり前だった日常

「もう、こんなにしちゃって……諦めちゃったの?」

だが、いくら願えども

「ダメだよ!ちゃんと遣り遂げなきゃ!」

いくら望めども

「それに…そんなにやつれて〜…」

叶う事なき幻想が

「ちゃんと栄養のある物食べなきゃイケないでしょ!」

実る事なき願望が

「やっぱり思った通りね……心配だから来てみたけど正解ね」


今、目の前に現れた

「……う……あ…!ぁぁ……うわぁぁぁぁ!!!」

再び触れ合う兄妹
確かな温もりが伝わる

枯れ果てたはずの瞳からは
大粒の涙が溢れる


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