投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ホワイトライ
【悲恋 恋愛小説】

ホワイトライの最初へ ホワイトライ 3 ホワイトライ 5 ホワイトライの最後へ

ホワイトライ-4

仲良き兄妹は
片時も離れる事はなかった

今宵もまた例外なく
離れる事なく傍にいる

冷たいままの妹を
兄はただただ包むだけ
兄がただただ包むだけ




―ゴォォォ―

妹の葬式が
滞りなく終わろうとも

妹の亡骸が
偽りなく燃えようとも

それは悪夢で白昼夢

兄は現実を認めない
兄は真実を求めない





―プルルプルル―

「ピッ。タダ今、留守ニシテオリマス。ゴ用件ノアル方ハ、めっせーじヲドウゾ。…ピーー」
「あ、もしもし!先生!…妹さんの事、聞きました。大変、お気の毒に………。これではとても、明日の演奏会は無理ですね……。御来客予定の皆様には、こちらから中止の連絡は致しますので………どうかお体にはお気を付けて……それでは……」

いったいどのぐらいの時間こうしているのだろう

愛用のピアノに向ったまま微動だにしない響

死者でもなく生者でもなく
飲まず
食わず
寝ず
考えず

「……う…うぅ……」

深い絶望
限りない虚無
溢れる後悔

何時しか涙は枯れ果て
低い唸り声だけが
壊れた部屋に呼霊する

「…うぅ…………」

人はいつか死ぬ
しかしただ死ぬのではない
人は必ず何かを残す

財産、意志、感動、未来
時にはカタチとして
時にはココロとして

だが響に残されたモノは

永久の追憶

底知れぬ孤独

「…なん……で……だ…よ………沙奈…さな……サ……ナ……うぅ………」

欠けがえの無いモノとは
それがなくては成り立たぬという事

兄の欠けがえの無い妹とは
彼女がなくては成り立たぬ
明日を生きる事の意味


ホワイトライの最初へ ホワイトライ 3 ホワイトライ 5 ホワイトライの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前