記-9 吉報を受けて、速やかに車両に乗り込む。 二人掛けのうちの、通路側が、自分の指定席だった。 窓側の席は、今のところ空いている。 かさばる荷物を棚に上げていると、乗客が次々と流れ込んできた。 老若男女が混在する、いわば、ひと夏のあたりまえの風景なのだろう。 そこへ、仄かな風が吹いてきた。