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仄か
【その他 官能小説】

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 長いホームに、長い車両が連なって、長い人の行列ができていた。

 発車時刻までには、まだ数分ある。

 雑踏の中、携帯電話をのぞいてみる。

 一通のメールが届いていた。

『無事に生まれました』

 そうか──。

 私たちの子どもが、無事に生まれたのか──。

 ほっと、ため息が出た。

 誕生の瞬間には間に合わなかったけれど、母子ともに無事でなによりだ──。

 父親としての自覚が芽生える、その脈動が体中をかけ巡り、うっかり涙ぐむ。

 私たちの元に、生まれてきてくれて、ありがとう──。

 妻にかけた電話口で、互いの言霊(ことだま)をつむぎ合った。


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