『SWING UP!!』第15話-12
「わ、わたしも、その……濡れてる、よ……」
結花は、航のそれを見たことで、自分の中にある躊躇いを捨てた。
「ほ、ほら……こんなに、なってるの……」
閉じ合わせていた太股を、自らゆっくりと開き、少し腰を突き上げるような動きをする。
「!」
中心の溝に沿うように、水気でじっとりとした股間の部分は、陰唇の形がはっきりと浮かび上がっていた。
「………」
濡れた布越しとはいえ、初めて目の当たりにする女性の秘められた部分に、航の視線は釘付けとなっている。結花の胸と脚をまさぐっていた手の動きも止まっていて、眼下に開帳された結花の陰部を、ひたすらに凝視しているのだ。まるで、図鑑を与えられた子供のように、瞳を爛々とさせている航であった。
(見てる……わたしの、濡れたアソコ……航、すごい、見てる……)
恥ずかしさは当然ながら最高潮で、しかし、脚を閉じようとは考えなかった。結花もまた、見られて興奮しているのである。
(見られてるだけ、なのに……わたし、いっぱい、濡れて、きちゃってる……)
何も触られていないのに、じわじわと奥からあふれ出すものが止まらない。結花の陰唇は、布越しとは言え微弱な開閉を繰り返す様を見せながら、濡れた面積と濃度を少しずつ広げていった。
「す、ごい、な……」
航の呼吸が荒くなり、喉が何度も鳴った。淫靡に濡れた結花の花弁を見て、興奮の度合いが更に高くなったのだろう。確かに、“パンツが濡れている”という非日常的な光景は、あまりにもエロスが溢れている。
「透けるくらい、こんなに、ビチャビチャに、なるものなんだ……」
「や、やだ……ビチャビチャって、言わないでよ……」
はっきりそういわれると、自分の浅ましさを責められているようで、結花は頬に血の気が集まるのを止められなかった。
「そんなに、ビチャビチャだと、気持ち悪いだろ……?」
「あ……」
航の手が、結花のショーツの縁に優しく添えられた。鼻息は荒いが、手つきに残る紳士な部分は、航の真骨頂と言えよう。
「脱がせる、けど……いいよ、な?」
「う、うん……いい、よ……」
身についけている唯一の衣服を、航の手が脱がそうとしている。しかし、結花は、その手を拒むことは考えておらず、むしろ、脱がせやすいように太股を開き浮かせた。
「………」
航の手が、ゆっくりと下着をずらしていく。誰かの手によって、“パンツを脱がされる”と、言う行為は、当然ながら幼い頃の記憶しか残っていない。最後におねしょをしたときに、母親に濡れたパンツを変えてもらったときが、それだ。確か、幼稚園の頃の話だったかと思う。
“パンツが濡れている”のは、あの時と同じだが、“パンツを濡らしたもの”は、まったく別の要因である。
「………」
濡れた部分に糸を引かせながら、ショーツはどんどん剥がされていく。太股を通り、膝を通り、ふくらはぎを通り、そして、足首の間を、順序良く“するり”と、ショーツは結花の脚から離れていった。
「う、わ、ぁ……」
感嘆の吐息を、航は零していた。結花は脚を広げたままだから、彼の目には今、何物にも遮られていない、生身の女の部分が、映っていることだろう。