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朱炎の記憶
【熟女/人妻 官能小説】

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朱炎の記憶-8

 部屋の窓から外を眺めていると、白いタンクトップを着た作業員風の男がハルミの家の玄関に佇んでいるのが見えた。
 頭を角刈りにした男の首は異様に太く、体格はがっしりしており、腹が若干出ている。
 顔は日に焼けて、いくらかの太い皺が刻まれている。壮年の男だった。
 男がしばらく玄関で待っていると、ハルミが現れたのだが、その男の顔を見てやけに驚いている。
 少し険のあるハルミの顔の厚ぼったい唇が開いて、男の顔を呆然と見つめている。
 そして、彼女の顔に男が自分の顔をおもむろに重ねた。
 二人は、出会うやいなやキスをしたのだ。

 長いキスはそのまましばらく続き、顔を離すとハルミの顔色が変わっている。
 俺に向かって優しく微笑む、あのハルミの顔ではなかった。
 その顔をどう表現すればいいのかわからない。
 たとえば、俺がハルミの裸を見た時に、ああいう顔をしていたかもしれない。

 男はそんなハルミを見て、何か話しかけているようだ。
 ハルミは、それを聞いて少し怒っているように見えた。声はここまで聞こえない。
 そうこうしているうちに、また二人はキスをした。
 男の太い体に、ハルミの細い腕が巻き付いている。
 俺は何か、居ても立ってもいられない気持ちになってきていた。
 二人があの立て付けの悪い引き戸を中途半端に開けたまま、部屋の奥にゆっくりと消えていく。
 俺は、二階の自室から駆け出していた。


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