Betula grossa〜出逢い〜-36
一週間後再び少女が覗いていたので
「どうしたの?良くなったんじゃないの?」
そう声をかけた。
「検査のために入院する事になって....」
そう言って笑う少女を見て、入院しなければならないのにどうして笑っていられるのか不思議になると同時に強さも感じた。
話しをしているうちに少女の名前が茉莉菜だと知った。それからは親しくなって俺が退院してからも時々逢うようになり、松葉杖を使わずに歩けるようになった頃にはつき合っているという事になっていた....好きと言う言葉は口にした事はなかったが....もしかしたら歩けるようになったのは茉莉菜の影響があったのかもしれない....
一昨年の夏休みに俺達は何度もデートした。茉莉菜には双子の姉がいるのは聞いていたが実際初めて亜梨紗と一緒にいるのを見た時には驚いた。同じ顔が並んでいたのだから....当たり前と言えば当たり前なのだが実際初めて目にしたものだから....
夏休みの終わり頃、水族館に行った帰り道にわか雨に降られて二人共ずぶ濡れになってしまった。コンビニに入って雨宿りをしたが、濡れた体に冷房の冷気のために体が冷えた茉莉菜が震えだしたので外に出た。なるべく雨にあたらないようにしていたが風もともなっていたのでさらに濡れてしまった。外にいても茉莉菜が震えだしたので
「俺の部屋に来る?」
そう誘ってみた。そのコンビニから俺の部屋まではすぐだが、茉莉菜は帰るのに電車に乗らなくてはならない。この時期電車の中も冷房が効いているので茉莉菜の体を心配したからだった。
「えっ?」
茉莉菜は一瞬驚いたような顔をしたが
「いいの?」
そう聞いて来た。多分誰もいない俺の部屋に行く事の躊躇いもあったと思うが濡れてしまった体をなんとかしたかったのだろう....
部屋に入ってすぐに
「すぐにシャワーを浴びて少しでも温まって!」
俺は脱衣場に案内して
「濡れた服はこの乾燥機に入れて!」
俺はそう言って脱衣場を出た。その後俺はバスタオルと着替えを持って脱衣場に行った。着替えといっても俺の物しか用意出来なかった。男物の下着を用意する事に抵抗はあったが、とりあえず袋に入ったままの新品を用意した。
「開けるよ!」
そう声をかけ脱衣場のドアを開けると茉莉菜はシャワーを浴びていた。
「タオルと着替えを置いておくから!着替えといっても俺の物だけど....一応新品だから!」
俺はそう声をかけて、乾燥機のスイッチを入れて脱衣場を出た。
茉莉菜がシャワーを浴び終わり脱衣場から出て来た姿を見て驚いた。バスタオルを一枚巻いただけの姿で出て来たのだ!俺は慌てて背を向けて
「何かすぐに着てよ!」
「ありがとう....でも純だって濡れてしまったんだからシャワーを浴びてきて!」
「あ..ありがとう....」
俺は茉莉菜を見ないようにしながら脱衣場に飛び込んだ。
「奥の部屋のベッドの上にエアコンのリモコンがあるから適当につけていて!」
俺が脱衣場から茉莉菜に声をかけた。
「うん..わかった....ありがとう....」
茉莉菜が答えた。
シャワーを浴び終わり、服を着ようとした時、上に着るシャツを忘れたのに気づき上半身は裸で脱衣場を出た。上に着る物を取りに部屋に入ると、茉莉菜はベッドの端にバスタオルを巻いたままの姿で座っていた。
「すぐに何か着てよ!」
俺は慌てて部屋から飛び出した。
「ゴメンね....もういいよ....」
茉莉菜の声が聞こえたので部屋に入るといきなり部屋の灯りが消されドアが閉められた。
「茉莉菜?」
日が暮れ真っ暗になった部屋の中で、俺の背中に柔らかいモノが触れた。茉莉菜の乳房が直に俺の背中に触れていたのだった。