Betula grossa〜出逢い〜-12
私は契約している携帯ショップに連れて行って
「好きなの選んでいいよ!」
そう声をかけると、笑美は美菜ちゃんと二人で見て回った。戻って来た笑美に
「どう決まった?」
「ウーン....迷っちゃって....お姉ちゃんが使っているのと同じなのってある?」
「私が使ってるのはもう型遅れになっているからなぁ....それに私のはガラケーだぞ!スマフォのほうがいいんじゃないか?」
「どうせ電話とメールぐらいしか使わないから、それに私は機械音痴だから、同じ機種だとお姉ちゃんに教えてもらえるから....」
笑美が遠慮しているのはわかったがとりあえず私のと同じ機種を探してみた。色違いだがあったので、それを契約して笑美に渡した。
「ありがとう..お姉ちゃん!」
大事そうに抱える笑美を見て、自分の事のように嬉しかった。
梓さんに連れられてファミレスに入った。俺の前に梓さんと笑美ちゃんが並んで座って、俺の横に姫川さんが座った。
「ねえねえお姉ちゃん!番号とアドレス交換しよう!」
笑美ちゃんは梓さんに教えられながらアドレスを変えた後梓さんに頼んだ。
「いいよ!」
梓さんは携帯を取り出して、赤外線通信で交換していた。
「ねえ!純兄ちゃんもいい?」
「俺とも交換してくれるの?」
「もちろんだよ!」
俺と交換した後、笑美ちゃんは姫川さんを見て
「美菜お姉ちゃんもいい?」
「えっ!?」
「ダメ?」
「いいわよ!笑美ちゃん!」
姫川さんと笑美ちゃんが交換してから
「少年もついでに美菜ちゃんと交換したら?」
梓さんの言葉に姫川さんの顔を見たが、姫川さんは嫌がる素振りを見せなかったので
「いいの?」
そう聞くと
「ええ!」
そう言って微笑んでくれたので交換した。
「良かったな少年!迷惑メールとかストーカーまがいな事をするんじゃないぞ!!」
「梓さん?」
俺が梓さんを睨むと
「えっ!?葛城君ってそんな人だったんですか?」
「姫川さんまで梓さんに影響されて....変な事言わないでよ!」
姫川さんはただ笑っているだけだった。
「ところで....私は少年がボクシングをやってたって信じられないんだけど....」
「えっ?どういう事ですか?」
「だって....ほら....ボクシングをやってる人って....厳つい人ってイメージあるから....」
「私もそう思う!純兄ちゃんは女の子みたいな顔をしているから....」
「そうね....私思うんですけど....葛城君は身長も高くなくて華奢だから女性の洋服を着ても似合うんじゃないかしら!」
「そう言われても嬉しくないんだけど....」
しかし俺の意見は無視されて話しは弾んでいた。梓さんが不気味なオーラを漂わせ始めたので
「俺....ご飯を食べ終わりましたので、これで失礼します!ご馳走様でした梓さん!」
席を立って帰ろうとすると
「待って!」
梓さんに腕を掴まれた。
「えっ?」
梓さんは不気味な微笑みを浮かべて
「まだいいだろう?」
俺はそう言われると席に戻るしかなかった。その時姫川さんの携帯が鳴り、姫川さんは席を外した。