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Betula grossa〜出逢い〜
【ラブコメ 官能小説】

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Betula grossa〜出逢い〜-13

「梓さん少し相談があるんですけど....」
戻って来た姫川さんが神妙な顔で話しかけた。
「今、父から電話があったんですけど、会社で輸入している洋服の販売店向けのサンプル写真のモデルにドタキャンされて困っているんですけど....」
「あっそれで美菜ちゃんにお呼びがかかったんだね!」
「はい!」
「それなら行ってもいいよ!私達は気にしないで!」
「出来れば梓さんや笑美ちゃんにも来ていただけないかと....」
「えっ!!私達も!!」
笑美ちゃんが大声をあげた。
「私達なんかとても....」
梓さんも気後れしていた。
「モデルって言ってもサンプル写真ですからあまり気にしないで下さい。スタイルがいいモデルさんが着るのと私達のような人が着るのとではイメージが違ってくるので、いつも私達のような一般人の人に着てもらって販売店にそのサンプル写真を持って売り込みに行っているんです。そうしないとウチのような小さな会社はやっていけないと父は言ってました。」
「サンプル写真を別に撮っている事は知ってたけど....」
梓さんが呟いた時
「タダでとはいいません。気にいった物があれば差し上げますから!」
「えっ!!本当?」
梓さんの顔つきが変わった。
「笑美!新作デザインが手に入るかもしれないぞ!!」
「うん!そうだね!」
笑美ちゃんも乗り気になっているようだった。俺は梓さんの不気味なオーラが消えた事にホッとしていた。
「あのっ!あと一人なんとかならないですか?出来れば背が高いスレンダーな人がいいんですけど....」
「そうだなぁ....友達にいないわけじゃないけど....都合がつくかな....」
そう言って梓さんは俺の顔をチラッと見た。俺の背筋に冷たい物が走るのを感じたので
「あっ!俺は....」
席を立とうとした時
「待って!純ちゃん!」
梓さんが俺の手を握った。
「純ちゃん?」
不吉な予感が止まらなかった。
「純ちゃん!お願い!一緒に行こう!」
「梓さん?何を言ってるかわかってます?」
「大丈夫よ!純ちゃんは美人だから....それにスレンダーで背が高いから....だから一緒に行こう!」
「梓さん?」
「そうだね!お姉ちゃんの言う通りだね!純お姉ちゃん一緒に行こうよ!」
笑美ちゃんも新作デザインに目が眩んだようだ。
「あのね!笑美ちゃん?」
「二人の言う通りよね!何で気づかなかったのかしら....こんな近くにいたのに....」
「あのぉ....姫川さん?」
確かに俺は女の子だったら背が高いほうになるのかもしれない....体つきも華奢だし....しかし....俺にはそんな趣味はない....そんな目で見られても....
「あっ!私!ちょっと頼みがあるんだけど....」
梓さんがどこかに電話をかけ始めた。
「うん....じゃあお願いね!」
梓さんは電話を切ると
「美菜ちゃん会計をお願いね!」
梓さんは姫川さんに財布を渡すと俺の手を引いて店の外に出た。笑美ちゃんは俺の背中を押していた。
「どこへ行くんですか?」
恐る恐る梓さんに聞いてみた。
「まず私の友達の部屋に行って変身してもらって....」
「ちょっと待って下さい!俺は行くって一言も....」
「いいから!いいから!」
俺は無理矢理三人に連れていかれた。
「待ってたよ!梓!」
俺達を迎えてくれたのは綺麗な女の人だった。
「悪いね香澄(かすみ)!休みなのに!」
「ううん!私も勉強になるから....で....この子?」
香澄さんは俺の顔を見た。
「うん....」
梓さんが返事をすると
「どれどれ....」
香澄さんは近づいて来て、まじまじと俺の顔を見つめた。


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