恋文〜放課後の机〜-2
廊下から教室に入りあたしは教室左後ろの席、沙夜子はその一つ前の席に座る。
「あっ!!そうだ詩知ってる??」
思い出したように沙夜子が手を叩いた。
沙夜子が手を叩く時はそうとう大きな情報を口にするんだよね。
「!?。何が???」
本当に分からない…あたしってなんでか分かんないけどみんなが既に知っている事件やニュースや情報があたしには一週間後とかに耳にするんだよね。……なんでだろ、ただ鈍いだけかな?
「今日さ、うちのクラスに転校生が来るんだって♪♪男の子らしいよぉ。さっき職員室で聞いちゃった!」
沙夜子がうれしそうに言う。
転校生!?それにしてもこんな半端な時期に転校してくるとはその転校生も可哀相に……。
「へぇ〜それは又いきなりだぁ。かっこいいといいね、沙夜子。」
「やだ詩〜かっこいい男の子が転校してくるなんて夢のシチュエーションがあるわけないよぉ〃〃」
「分かんないよ〜お互い一目惚れ、しちゃったりさ。」
「あるといいねぇ〜。」
一目惚れかぁ…自分で言って笑えちゃう。そんなのあるわけないよ。
沙夜子と少女漫画のような話ししてると先生が教室に入ってきた。
ガラガラ――
「起立、礼、着席。」
クラス委員の香川深音(かがわみお)ちゃんが号令する。
「え〜今日のSTは来週の球技大会の話しをしようと思っていたんだが、なんとこのB組に新しい生徒が加わる事になった!」え〜っ!!
きゃぁ!!
まじで〜!!
クラスからいろいろな声が聞こえてくる。まっ、あたしはさっき沙夜子に聞いたからそんなに驚かないけどねっ。
「男子には残念だが、女子にはうれしいかっこいい男の子だぞ!さっ入って。」
先生がドアに向かって言う。
かっこいい男子って先生が言った瞬間女子の目の色が変わってますよ…。
ガラガラ――
クラスの皆がドアに注目する。入ってきたのは……美少年だった。
美少年が顔を上げた瞬間、あたしは彼と目があった。
…‥……―え。
キャ――――――ッ!!!!!!!女子の黄色い声で我にかえる。
あたしははッとしてすぐに目をそらす。一瞬あたし彼と見つめあってしまった…。
「…―桐島銀河です。親父の会社の都合で中途半端な時期ですけどこっちに戻ってきました。」
あちこちで女子の感激な声が聞こえてくる。
でもあたしはそんな声頭に入って来ない。
えっ…ちょっと待って、桐島……銀河ッッ!?
……もしかして―――
「え〜桐島は小学校低学年くらいまでこの町にいたそうだ。まぁ元住んでたとはいえ分からない事も沢山あるだろうからどんどんクラスの奴らに聞けな?んぢゃ桐島の席は〜‥」そんな担任の説明なんて聞いてなかった。
小学校低学年って…それに桐島銀河って名前……。
あたしが一人考え込んでると、
「…ち、…だち、安達!!」「ッ!はいっ!!」
「おいおい安達〜ちゃんと先生の話し聞けよなぁ〜。」
「すみません……。」
あ〜ついてない。
あたしがちょっと不貞腐れてると、
「じゃ桐島、お前の席は今返事した安達の隣だから。」
「はい。」
げッッ!!!!!あたしの思い過ごしかもしれないけど、仮にも小学生の時あたしをいじめてた奴が隣の席!?勘弁して下さい…‥。