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恋文〜放課後の机〜
【初恋 恋愛小説】

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恋文〜放課後の机〜-1

―…あれは確かあたしが小学二年生の時。
確かそいつはクラスでも一位二位を争うくらいの悪ガキだった。先生を困らすのは当たり前、女の子のスカートめくり、いやがらせ、物を壊したりなど……。
でも不思議と奴の周りにはいつも人が集まっていた。
悪さをするのにそれだけ人が集まるって事は性格がいいのか、はたまた脅されているだけなのか……わからないがとにかくっ!!あたしは奴が嫌いだった…。
何故かというとあたしが一番奴にパシられてたから!!!!宿題は写すわ、給食は奪うわ、ランドセルは持たすわとか何かとパシられていたあたし。
一番嫌だったのは放課後毎日教室一番左後ろのあたしの席に座っていた事。何でいつも座るのか聞いて見た気がするけど理由は忘れてしまった。??なぜ奴の事を奴って言うのかって?? 名前を忘れてしまったから。今はもう顔すら覚えてない…。

そして奴は二年生の夏休みに転校していった。



―――ジリジリジリジリジリっ目覚ましの音がうるさいほどに鳴ってあたしは目が覚めた。
あたし安達 詩(あだちうた)16歳。県立高校に通う普通の高校生。
「ぁ〜すっっごい昔の夢見たぁ!!!なんで今更!?なんか今日起きるとか‥。」
トントントン―
制服に着替えて階段を下りてリビングに行くとテーブルの上に朝食と手紙が置いてあった。
あたしはその手紙を素早く読む。
「…まぁたお母さんは仕事かぁ。最近こんなのばっかりだな…。」
あたしは椅子に座りお母さんが作ってくれた朝食を食べだした。
我が安達家の家族構成は父、母、あたし、愛犬のファビの4人だ。(正しくは3人と1匹)
お父さんは単身赴任中でお母さんは看護士をしててほぼ家にいない。
つまりあたし家に1人なのだ。
「ファビ…お前だけがあたしの心の支えだよ……。」
ファビがク〜ンと鳴いた。



「おはよ詩っ!!」
「沙夜子おはよ〜」
予鈴寸前に教室に駆け込んだら1番に親友の江藤沙夜子(えとうさよこ)が元気のいい挨拶をしてくれた。
「今日はめずらしく危なかったねぇ。何かあったの??」
STの準備を一緒にしながら沙夜子は聞いてきた。「んん〜何かっていうほどじゃないんだけどちょっと考え事してたら、ね。」
「考え事!?」
大きい目をぱちくりさせて沙夜子はきょとんとしている。
「なによぉ〜あたしが考え事してたらおかしいのぉ〃」
沙夜子は首を横に振りながらまた目を大きくして言った。
「違う違うっ!!ただたんに詩が遅刻しそうになるくらい深く考えてたんだと思ったらちょっとびっくりして…。」
「………名前が思い出せないの。」
「名前!?」
「そう、名前。小学校の時一緒だった人の名前。あたしさぁ今はもうあんまり覚えてないんだけどその人によくパシられてて。」「それって男の子??」
「うん。男の子。」
そう、これだけははっきり言えるんだ。
確かめずらしい名前だった気がするけど…。
「なんでまたそんな事気になり出したの??小学校っていうとすごく昔の事だよね?」
沙夜子はさぞ不思議そうにあたしを見た。
あたしだってあんな夢見なかったらこんな悩まないよ!!って思ったけど口には出さなかった。沙夜子にはごめんだけど夢の事言うのはちょっと……。
あたしが黙っていると沙夜子はま、いっか。といわんばかりに
「まぁ思い出したら沙夜子にも教えてねっ。」
って言った。
沙夜子のこういう所はさっぱりしてて好きだなって思う。


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