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縄灯
【SM 官能小説】

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縄灯(後編)-5

…ああっ…うっ…ううっ…

指爪は、しだいに肉襞のなかに深くめりこんでくる。そして小刻みな蠢きとともに、性器の中
をぐりぐりとえぐり、烈しくうねり始めていた。彼の指で弄られる陰部の甘美感と苦痛が入り
混ざり、濃厚な肉の情感が私の鬼を目覚めさせようとしていた。

縄が私の肉肌をはじけるように張らせると同時に、膣孔の内奥がぶるぶると震えた。私の裸体
に吸いつく縄は、狂おしいほどの甘美な欲情を私にもたらし、やがて骨の髄まで噛みしだくよ
うに肉を緊めあげていくのだった。



私は、あの銀行員の男と別れたあとも数人の男に誘われるまま抱かれた。でも、ゆらゆらと
靡く紫色の水母のような陰毛にも、とらえどころのないペニスにも、しがみつきたくなるよう
な欲情が生まれることは決してなかった。

私は性を交わしたあと、いつも男たちの精を受け入れた自分の秘所を男たちの腿に押しつけな
がら彼の下半身の草むらに手を伸ばした。私の指の中で萎えた男たちのペニスはしなやかであ
りながら死んだように冷たく湿っていた。むず痒い疲労と渇いた気だるさだけが私の欲情を
なだめるように褪せた肉奥をゆらりと包み込んでいった…。

私は果てしれぬほど繰り返される男たちとの無為な性交によって、私の中に深く刻まれた鬼が
少しずつ白骨化していき、石灰のような粉塵となって消えていくことだけを願っていたような
気がする。私は、ただ十七歳のときに自分の中に刻まれた鬼の幻惑から逃れようとしていただ
けだったのだ。


そして三十五歳を迎えた私は、毎日のように不眠症に陥った…。

寝ていても覚めていても、私に迫りくるのは、寝室の白い壁の中に仄暗く浮かんでくる男の肉
体から切り取られた蒼白いペニスだった。現実と幻覚が交錯し、からだの奥から滲み出すよう
な性の震えが止まらなかった。湧いてくる欲情は燦爛とした光を含んだ極彩色の蜜汁を陰部に
溢れさせた。

誰かに凶暴に犯されたい…秘所の割れ目に焼けついた斧のようなペニスを奥深く打ち込まれた
い…子宮から生き血を抜かれ、膣孔の皮を剥がされたい…襞の肉片を精液で溶かされたい…

そして、犯された肉体の隅々まで棘の鞭で気絶するまで打ち叩かれ、最後は絞首台で息絶える
までゆっくりと首を絞められながら男に強姦され、毒された蜜汁のすべてを垂れ流したい…。

それは確かに私の性の源からふたたび蠢き出した鬼の咆哮だったのだ。

やがて私は、陰部への異物の挿入を繰り返す危険な幻覚状態に何度も陥り、このK…精神病院
へ入院することになったのだ。




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