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今宵、満月の夜に
【その他 官能小説】

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今宵、恋人の夜に-1

吸血鬼である私ルゥと狼男であるロウが一緒に暮らし始めて1ヶ月になった。

「もう、ほんっと〜に信じられないっ!」
「何が?」
私の叫びに不思議そうな表情で首を傾げるロウ。
「あ、あのねぇ。ああいう事は普通恋人同士がすることであって・・・!」
「ああいう事?」
なんだろう・・・というように聞いてくる。
この飄々とした態度がムカつく。
「恋人同士」「ああいう事」っていったら決まってるじゃない。
わざわざ言わせる気かっ?
だけど、本気で分かってないのかロウはう〜んと更に首を捻る。
「・・・ほんとに毎日、毎日。」
こめかみを押さえながら呟くと
「あぁ、セックスの事?」
恥じらいもせず答えやがった。

この1ヶ月、ギブ&テイクだと言って毎晩のように人の体を好き勝手に弄んでくれて・・・。
確かに、ロウの血は最高でこれ程の食料はないわけだし、その・・・体を繋げる行為が嫌なわけではないのだけれど。
ロウってば月に1回しか女にならない。でも私は毎晩のように食べられているわけで。
「やっぱり不公平な気がする。」
ぼそりと言った。

「・・・なぁ、ルゥ。さっきから気になっていたんだが、恋人同士がする事をなぜ俺は咎められてるんだ?」
しばし首を捻っていたロウが聞いてきた。
「は・・・?当たり前でしょう?今の状態はまるでセックスフレンドみたいな・・・。」
ずっと言いたかった事を吐き出す。
だけど次のロウの言葉に私は固まった。

「俺らは恋人同士じゃなかったのか?」

はいぃぃっ!?え?どういうこと?いつから?
頭の中で??が飛び交う。
「ルゥは・・・俺の体だけが目的だったんだな。」
項垂れるようにがっかりとしている。
・・・っていうかそれは女の私が言うべき台詞で。
「えと、あの。いつからうちらって・・・その恋人同士?」
口元をヒクヒクさせながら、そう聞くのが精一杯だった。
「最初から。」
不貞腐れたようにロウが言う。
「だって、だって・・・恋人同士ってうちらには当てはまらないでしょう?」
「何で?」
じろり、ときついグリーンアイで睨まれる。
う・・・怖い。
「だって、うちらは『ギブ&テイク』な関係で・・・。」
はぁ・・・とロウが溜め息を吐く。

「じゃあさ、ルゥの言う『恋人同士』ってどういうもの?」
改めて聞かれると困るのだけど・・・。
「えと、いつも一緒にいて。」
「いつも一緒にいるよな、俺ら。」
「いるとドキドキして・・・。」
「俺はルゥといるとドキドキするよ?」
・・・私も確かに抱きしめられたりするとドキドキはするけど。
「とても大切な存在で。」
「俺の中でルゥは一番大切だけど?」
・・・・・・。
「いないと辛い。」
「・・・俺はルゥのいない生活なんて耐えられないよ。」
あとは、あとは・・・えぇ〜っと・・・。
唸っているとまたもや、はぁ〜、っと溜め息を吐かれた。
「・・・俺、今日これから病院行ってくるから。・・・帰り、少し遅くなる。」
寂しそうな顔をしてロウが部屋から出て行く。


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