里美 第6話-3
「こ…こんにちわ」
玄関のチャイムが鳴り、ドアを開けるとあの男の子が立っていた。
「いらっしゃい。さ、上がって」
里美は満面の笑顔で出迎えた。
「さ、どうぞどうぞっ」
里美が後ろから男の子の両肩に手を当てた途端、男の子の体がビクッと震えた。
「あはは、かわいいっ」
里美はそういうと、男の子の背中に抱きついた。
「あっ、、、いえっ。。。」
突然、後ろから抱きつかれ、背中に里美の乳房の丸みを感じた男の子は、立ち尽くしたままうろたえている。
「あはは、ごめんごめん。びっくりしたよね」
里美はそう言うと体を離して、男の子の両肩を押して居間へ連れて行った。
「もう少ししたら、旦那も帰ってくるから待っててね。ご飯もうちょっとかかるけど、大丈夫?」
「あっ!それから今さらなんだけど…名前聞いてなかったよね。あたし里美、君は?」
里美が笑って聞いた。
「あの、ぼく木下です。木下太一」
「たいちくんって言うんだ。じゃぁ、たいちゃんでいいね」
里美がそう言うと、太一は何故か顔を真っ赤にしてうつむいた。
「おっ、いらっしゃい。良く来たね」
しばらくした頃、玄関が開く音がして夫が帰ってきて、居間のソファーで時間を持て余している、太一に向かって言った。
「おかえりなさい、こちら木下太一くん」
台所にいた里美が紹介した。
「太一クンか、よろしく。ちょっと待っててな、さっとシャワー浴びてくるから」
夫はそう言うと、さっさと浴室へと向かった。
「ごめんね、ぶっきらぼうだけど悪気はないんだから」
「いえ、大丈夫です。それよりも俺、間違って1時間も早く来ちゃって。。。すみません」
すっかり恐縮した感じで、相変わらず顔を赤くして太一が言った。
「ん?どうしたの?熱でもある?」
里美がそう言って、太一の額に手を置いた。
「いっ……いやっ。。。だっ、大丈夫です。ちっと暑くて」
「高校生って、ほんとかわいいねぇ」
里美はからかう様に言いながら、エアコンの設定温度を下げた。
ちょうど食事の仕度ができた頃、夫もシャワーを浴び終わって居間へ入ってきた。
最初のうちこそぎこちない会話をしながらの食事も、太一が慣れて来るに従って話も少しづつ弾んできた。
そうしているうちにゲームの話になり、ちんぷんかんぷんの里美を置いて、太一と夫と二人してやたらと盛り上がっていた。