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ヒプノ・フラッシュ
【SF その他小説】

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清楚な女-1



とても清楚な感じの女性がやって来た。

だがもじもじしてなかなか用件を言わない。

私はヒプノ・フラッシュを光らせてから聞いた。

「あなたは恥ずかしくなく、心の声を安心して喋ることができます。

思っていることをしゃべるだけで気持ちがどんどん楽になります。

さあ、ここに来た訳を話してください」

すると彼女の顔の緊張が緩み、口が軽くなった。

「最近私は変なんです。何もしてないのに、体がぐったりしたり。

急に自分の好みではない服を買って着たりして、何か体や心が自分のものでないみたいな、変な感じなんです。

だからきっと心の中で何か原因があるのではないかと思うのですが、精神科で相談しても安定剤の薬をくれるだけで……。

それでここに来ました」

私は彼女をさらに深い催眠状態に導いた。

「あなたは自分の心の奥を覗くことができます。

そしてあなたが変になった原因を見つけることができます。

さあ、何がみえますか?」

するとその女性は椅子に座っていたのだが、急に胸を反らして体を左右に揺すった。

「駄目、駄目。やめてください」

そして足をばたばた動かしスカートが捲くれ上がり太腿や下着が露になった。

これはただ事ではない。

「あなたの魂は自分の体から離れて、自分の姿を離れたところから見ています。

だから冷静に自分がどうなっているのか、誰に何をされているのか話すことができます。

さあ、話して見て下さい」

女性は急に落ち着いた顔になって椅子の上にきちんと座って服の乱れを直した。

「私は体格の良い男と向かい合っています。でもその男は私には何もしてません。

その男はリモコンで私を操るみたいなことをして、私をオモチャにしています」

私は咄嗟に催眠だな、と思った。

「あなたの魂は最初にその男と会った場所に行って、その様子を見ることができます。

さあ、それはどこですか? あなたたちは何をしていますか?」

すると女性は瞑目したまま、注意深い顔つきになった。

「私はF展望台にいます。

手すりの向こうは崖で、その下には見晴らしの良い景色が広がっています。

辺りには誰もいません。

そこへ駐車場に一台の車が止まって、あの男が降りて来ました。

展望台まで登って来た男は、私を背後から突き落とすような動きをしました。

その癖『危ない!』と言って私を抱きとめて地面に倒したのです。

私はびっくりして体が動かなくなりました。

すると男は耳元で早口で、私の体が動かなくなり体の力が抜けて……というようなことを言って、私はその通りになりました」

驚愕催眠だな、と思った。

古典催眠の手法で、相手を驚かせ一瞬金縛りの状態にしてから暗示をかける方法だ。

「その後、私は男の言いなりになって一緒に車に乗り、その部屋に行きました。

男はオレンジの小さな房を2つ重ねたものを私に見せました。

そして、このオレンジはお前の唇だと言ったのです。

そしてそのオレンジに男はキスをしたのです。

すると、まるで私がその男にキスされたように、唇の感覚が伝わったのです。

男はオレンジを唇で挟んだり、房の間に舌を入れたり、しゃぶったりして遊びました。

そして、『俺はただオレンジをしゃぶってるだけだ』と言って笑うのです。

そして2本の哺乳瓶を取り出すと、私の胸を見てにやりと笑ったのです。

それから男は哺乳瓶の乳首を代わる代わるに舐めたりしゃぶったりしました。

私は感じてしまって声を漏らしました。

私は普段よりずっと感度が上がっていて、それだけで気を失うほど感じてしまったのです。

でも男はそれでもやめてくれませんでした。

今度は竹輪を取り出して、その穴に指を突っ込んだのです。

すると私の体の中に男の指が入ったような感じになって……」

私が聞き取った話しは以下のようだ。

女性はそうやって散々弄ばれた後、最後には本当に犯されてしまった。

男は、日時を決めて待ち合わせ場所に来るように暗示をかけて、その場所から自分の部屋に連れ込んだ。

だが男の部屋はどこにあるのかわからない。

部屋に入るまでの間、瞼がくっついて見えないようにしているのだ。

街中に戻される時も同じようにして目が見えないようにされている。

男は自分の好みの服を指定して女性に買わせ、それを着て来るように暗示をかけた。

そうやって男は女性をたびたび呼び出して、十数回に渡って淫行を行っていたのだ。

「あなたは、もうその男の言いなりにはならない。

約束の場所にも行かないし、もしどこかで偶然会ったとしても、あなたは大声で叫んで追い払うことができる。

あなたの受けた心の傷はきっと時間をかけて少しずつ癒されて行く。

もし辛くなったらまた、ここに来ると良い」

私は彼女の心の奥にそう語った。だがこの事実は表面の意識には知らせなかった。

事実を知るにはまだまだ抵抗力が弱いと考えたからだ。

男の手がかりは全くなかった。

何故なら、男は次にいつ会うか、彼女に暗示を残していなかったからだ。

想像するに男は彼女に飽きて、次のターゲットに目をつけたのかもしれない。

だが、その男を見つける手がかりはなく、私の仕事の領域外のことなのでそれ以上は追跡できなかった。

 


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