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ヒプノ・フラッシュ
【SF その他小説】

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如月警視-1

後日如月警視は報告に来てくれた。

「向山さんの助言通り、まだ催眠の効果が残ってましたよ。

初めに合鍵を使ったんじゃないのかとカマをかけました。

その鍵をあの近辺の下水道に投げたりしたとすれば、捜せば案外出てきたりするかもしれないと畳み込みました。

その後で遺書のことに触れました。

死んだときに他の人が読むようにあそこに隠したのでしょう?と言ったら、月島は言いました。

どうして墓に隠したのがわかったんだってね。

月島家の墓のお骨入れの入り口に、ビニールの袋に入れて遺書がぶら下がっていましたよ。

自分のお骨を入れるときに発見してもらおうとしたんでしょうね」

如月警視は私に手を差し出した。

「私は県警に戻ります。今回の2つの事件の解決のお陰で出世できそうです。

向山さんのいる方角には足を向けて眠りませんよ」

「そうですか? 次は警視正ですか? おめでとうございます」

私は今回は危ない橋を渡ったが、無事に終わってほっとしている。

だが、二度とこういう依頼は受けない積もりだ。

そのとき握手していた手を握ったまま、如月警視は私の手を担ぐようにすると体を半回転させて私の懐に入って来た。

つまり私は如月警視を背中から抱きつく形になった。

私の両手を掴んでしっかり自分の胸に押し付けるように、私の体に包まれながら如月警視は、1分ほど黙って背後ハグを受けていた。

彼女の筋肉質の背中やお尻から温もりが伝わって来る。

私はこのハグの意味を考えていたが、やがてすーっと離れて行った。

そして彼女は振り返らずに片手をあげて敬礼するとそのまま戸口から出て行った。

だからヒプノ・フラッシュを光らせて、本心を白状させることはできなかった。

たとえ、白状させることができたとしても、それがなんの役にたつのだろう?

ヒプノ・フラッシュは万能ではないのだ。

        完    


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