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『清子と、赤い糸』
【幼馴染 官能小説】

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『清子と、赤い糸』-35


『まーちゃんだけ、こっちに残れんの?』
『………』
『ウチ、イヤや! まーちゃんと、離れ離れになるなんて、ウチ、考えられヘんよっ!』
『………』
『まーちゃん、イヤや……ウチ、まーちゃんのこと、好きでたまらんのに……離れるのイヤや……』
『……すまない』
『………』
『……すまない、清子』
『………』
『………』
『……お別れ、なんやな』
『………』
『……そう、なんやな。“お別れ”せな、あかんのやな』
『………』
『ウチ、遠恋する自信ないし、これで、“お別れ”にしよ?』
『………』
『まーちゃんやったら、ウチより可愛くて、ええ人が見つかるさかい』
『………』
『ウチもな、まーちゃんよりカッコよくて、ええ人を見つけるさかい』
『……っ』
『さよなら、まーちゃん』
『…っっ』
『さよ、なら、まーちゃ、ん……う、う、うわあぁあぁぁぁぁん!!!』 
『っっっ』


「なーんて、昔は、言うとったのにな」
「そうだったな」
 新幹線を使って、西日本方面へ帰ろうとしている清子は、駅のホームまで見送りに来てくれていた岡崎と、その新幹線が来るまでの間、昔話に浸っていた。
 荷物は最後まで、大きな方のバッグを持ち続けてくれた岡崎の姿に、言い知れない愛情を感じて、清子は少し、帰りたくない自分を思い出したが、絆が再び繋がった今、距離を離れることになっても、以前のように怯えることはもうなくなっていたから、自重する勇気を持つことが出来た。
「でも、あん時の“チュー”は、ホンマに、哀しかったんやで……」
 それでも、メランコリーな気分になるのは仕方ない。想いは繋がったままでも、また、離れ離れになるのは、間違いないのだから。
「………」
「えっ、あ、ちょっ……んっ……」
 不意に、岡崎の顔が寄ってきて、衆人環視の状況であるにも関わらず、深々と唇が塞がれた。
「………」
「………」
『ままー、ちゅーしてるー。ままとぉ、ぱぱみたい』
『こ、こらっ……!』
 そんな声も気にならないように、二人はとても長い時間、唇を重ね合わせていた。
「……まーちゃん」
「……清子」
 やがて、ようやく顔を離した二人だったが、視線はずっと、絡まったままだった。
「ふふ……今の“チュー”は、すごい、幸せな味がしたわ……」
「そうか」
「もう、サヨナラは、言わへん。ウチ、ずっと、まーちゃんのこと、好きでおるからな……」
「俺もだ、清子。俺も、清子のことを、ずっと、ずっと、好きでいるよ」
「ほんじゃ、約束やな。あの、な……“ゆびきりげんまん”のかわりに、その、“チュー”してもらっても、ええかなぁ?」
「ああ、もちろんだ」
 言うや、再び唇を寄せ合って、深く長く重なり合う、清子と岡崎であった…。



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