アンバランスな愛-8
「やりたい事……見つけたんだな」
「……ゼインとカリーのおかげ……拾ってくれて……出会ってくれて……ありがとう」
ポロは再び涙を流してゼインに抱きつき、ゼインは身体の痛みに顔をしかめつつもしっかりとポロを抱き返す。
「あ、それと『アメリア』なの」
「何が?」
「私の名前『アメリア』。私の家族が名付けてくれた名前」
ポロの生家は非常に貧しく、特にその年は不作で子供を売るしか無かったのだ。
当時、5歳だったポロは寝ている内に奴隷商人に引き取られたらしい。
シーリーはポロが産まれた時から傍に居たので、ちゃんと憶えていたのだ。
「今はどうしてるか分からないけど……いつか、探してみようかな」
嫌われて売られた訳じゃない、と分かっただけでも良いのだが、幸せにやっている姿を見せて安心させたい。
「また、やりたい事見つけたな」
「ふふ……もっともっと増えるよ」
ポロ……アメリアは顔を上げて、キラキラした最高の笑顔をゼインに見せたのだった。
それからエンが来て、やっぱり怒られるゼイン。
「ボクは減俸程度で済んだし、完全共有を試すきっかけにもなったからプラマイゼロで良いんだけどさぁ……カッコつけた割にはおざなりでカッコ悪い」
「あぅ」
「キャラも元気に見えるけど3日間寝込んでたんだからね。うちの姫様巻き込んだツケはしっかり払ってもらうから……覚悟しといてよねぇ」
ああ……また覚悟するものが増えた、とゼインは少しがっくり項垂れる。
「まあさ……無事で良かったじゃん?」
『キュ』
エンがゼインの頭をポンポン叩くと、アビィが真似してゼインの足をポンポン叩いた。
「うん。ありがとう」
死ぬ覚悟だったけど生きてて良かった……そう思える自分はまだまだ腐ってないな、と思うゼインだった。
2日後、漁から戻ったケイが魚を手土産にやってきた。
「よおっ目ぇ覚めたんだな。気分はどうよ?」
「まあまあ……かな?」
身体中はギシギシ痛むし、色んな人に脅しつけられているが……生きてる、とゼインは答える。
「はははっカッコつけて1人で行ったりするからだ。ざまぁみろ」
『ククッ』
ケイの言葉に同意してクインは身体全体で頷き、魚介類の入った籠をゼインの膝に置いた。