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透明な滴の物語
【同性愛♀ 官能小説】

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秘密の買い物-2

「あら、…佐和子さん、ですか?」
慎重に尋ねる声があった。
悪いことをしている訳ではなかったが、瞬間、手に汗を握った。
振り返ると、スリムで長身の女性が立っていた。
長い脚にパンツルックが良く似合っている。
予期しなかった人物との出会いに驚いたが、彼女がかつて化粧品メーカーに勤めていた時代の後輩、聡美であることに気が付いた。
歳は27になるはずだった。
近年でこそ会ってはいなかったが自分の結婚式にも呼んだし年賀状の交換もしている間柄だった。
「聡美じゃない?びっくりしたわよ」
佐和子は強張った顔をしていたのだろう。
聡美が申し訳なさそうに言い訳をした。
「すみません、すみません、本当に、歩いている途中で佐和子さん見つけて、つい」
意外な出会いに驚いたが、少しずつ佐和子は落ち着きを取り戻した。
「いいのよ。どうしたの?今日は、お休みなの?」
二人は、しばらく世間話をしながら近況を報告し合った。
この日は平日だったが聡美は代休ということであった。

佐和子が落ち着きを取り戻したのには訳があった。
浣腸を買うという、きわどい場面を見られた相手が聡美で良かったとすら思った。
やがて、聡美が佐和子の買い物かごに目をやった。
浣腸のまとめ買いパッケージが隠しようもなく佐和子の体調とこれから行う解消法を物語っている。
聡美の言葉が途切れた。
佐和子がこのことについて話す番だった。
「…そうなのよ、聡美。実は、お腹がこれで。いつも浣腸を使っているの」
佐和子は自分の張った下腹部を擦ってみせた。
聡美の顔が一瞬赤らんだように見えた。
「そっかぁ、佐和子さん、ツラいでしょ?私も便秘のツラさ、分かりますから」
聡美がそう言ったのは、気まずい場面を見てしまった言い訳だけではなかった。
「浣腸が効くのも分かりますよ。だって、佐和子さんが教えてくれたんですもんね、浣腸…」
聡美はかつて化粧品メーカーに勤めていた時代に佐和子から施された浣腸を思い出し、さらに顔を赤らめた。
佐和子と聡美は浣腸という経験で結ばれていた。
浣腸購入の現場を見られた相手が聡美でほっとしたのはそういうことであった。
「聡美、せっかくだから私の家においでよ」
聡美は自分のクルマで来たという。
便秘の重い腹を抱えながらバスで帰るのは面倒だと考えていたところだ。
佐和子は聡美のクルマに乗せてもらい自宅へ帰ることにした。



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