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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS桃子-10

クッキーを食べていくうちに、乾燥剤にしてはやたら大きめな不繊布の包みが邪魔に感じるようになり、俺は指でつまんで袋から乾燥剤を取り出した。


そもそも乾燥剤をさらに不繊布に包む必要なんてあるのだろうか?


ふと、その乾燥剤のサイズ、不繊布ごしの感覚に違和感を覚え、クッキーを咀嚼しながら白い不繊布を取り除いてみた。


その瞬間、俺は激しくむせ込んでしまった。


「ちょっと、大丈夫?」


石澤が慌てて俺の方に駆け寄るが、それをなんとか手で制した。


お母さん、食いもんの中にこんなもん入れんなよ……。


心配そうに見やる石澤の隙をついて、“こんなもん”を急いでズボンのポケットにしまった。


なんとなく続きを食べる気になれなくなった俺は、クッキーの包みを再び紙袋にしまって大きくため息をついた。


「どうしたの?」


「腹一杯になったんだ」


どっと疲れが出た俺は、石澤が立っている柵の隣に移動して頬杖をついた。


生ぬるい風が顔にあたる。


お互いの気持ちが通じ合ったあの頃は、寒くて仕方なかったのに、いつの間にか半袖でも汗ばむほど暑くなっていたことに、時間の流れの速さをまざまざと見せつけられたような気になる。



付き合ってもう三カ月になるのか。


ズボンのポケットに手を入れて、さっきの不繊布の中身を触る。


これを俺にくれたってことは、使っていいっていうことなんだよな。


チラリと石澤を横目で見ると、彼女は呑気にあくびなんかしている。


友達感覚から抜け出せないと、それを言い訳にしてたけど、もしかして次の段階に進む時期がきたのかもしれない。


意を決した俺は、ゴホンと咳払いしてから、


「……桃子」


と彼女の名前を呼んだ。


彼女は自分の下の名前で呼ばれたことに驚いたようで、バッと俺の顔を見つめた。


その瞬間に素早く顔を近づけ、キスをした。




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