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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS欲望-8

石澤にブチ切れたあの日、苛立ちをどうしても抑えられず、無性に郁美の顔が見たくなった。


その日、郁美は友達と遊ぶ約束をしていたのだが、俺からの突然の電話に急遽予定を合わせてくれた。


友達との約束より俺を優先してくれたことが嬉しかった。


そうだ、俺には郁美がいるんだ。


そう何度も繰り返しながら、彼女の家に向かった。


俺達は郁美の部屋で、いつものようにくだらない話をしながら、菓子をつまんだりしていたが、どことなく会話が弾まなかった。


どうしても、石澤の顔がチラついてムシャクシャしてくる。


募る苛立ちをどうにか発散させるため、俺は半ば強引に郁美を抱いた。


今日は会う予定がなかったから、コンドームの用意もしてなかったけど、ムシャクシャしてたからそのまま流れに任せた。


いつもよりおざなりに、乱暴に、郁美に触れたけど、俺は普段と変わらないつもりだった。


こんなこと、どうせどんな風にヤったって、最後は俺が満足して終わるだけなんだから。


はっきり言って、その時はそれくらいの気持ちしかなかった。


郁美も何も咎めなかったし、これでいいんだと思えた。


しかし今思えばこの日から、郁美を抱く行為が自分本位で配慮に欠けたものになっていったような気がする。


単なる気分でコンドームをつけたりつけなかったり、ヤるだけヤったらサッサと帰ったり。


最初は壊れ物に触れるように抱いていた自分が嘘みたいだった。


特に、石澤と歩仁内が仲良く話しているのを見かけた日なんかはそんないいかげんさが顕著に現れた。


でも、それ以外ではデートもよくしてたし、クリスマスプレゼントだって、ネットでリサーチして、なけなしの小遣いをはたいて買いに行ったりしてたから、俺なりに大事にしていたつもりだった。


それに、いつも郁美は何も言わずに隣で笑っていてくれたから、俺は彼女がどんな想いをしていたのか、気付けずにいた。



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