heel-3
◇
「はあっ……、ああっ……あ」
「おっと、危ないから動くなよ?」
静かな部屋に響くのは、少しすすり泣きのような声が混ざった雅の淫らな吐息と、ザリッ、ザリッ、というリズミカルな音。
相変わらず俺の前で股をおっぴろげられたままの雅の足元に、パラパラと黒い束が次々に落ちていった。
赤黒い淫肉が徐々に剥き出しになっていく。
雅のヴァギナからは、雅自身の匂いの他にもスッとするメントールの香りが漂っていた。
「ふ、風吹くん……、どうしてこんなひどいことするの……?」
雅の瞳は真っ赤で、飽和していた涙が彼女の腹にポツリと落ちる。
それでもそんな彼女の言葉を、わざと聞こえない振りをする俺は、ニヤニヤしながら一生懸命T字カミソリを上下に動かしていた。
スッとするメントールの香りの正体は、親父が愛用しているシェービングジェルの匂い。
中々切れ味のよいカミソリは、母さんがムダ毛処理に使うそれ。
普段から何気なく使っているものが、今まさに女を辱しめるための道具になっているとは親父も母さんも夢にも思うまい。
俺は、それを持ち出した兄貴の姿を想像するとニヤケ顔が止まらなかった。
これをわざと忘れていったのか、ホントに忘れていったのかは知るよしもない。
だが、この小道具を見てれば兄貴はヒール以外の何者でもないと思った。
兄貴は、俺が自分の性癖のツボを見事に押さえていると言っていた。
ということは逆もまた然り。
兄貴の性癖の嗜好が全てツボな俺がそれらを使うのは火を見るよりも明らかで、カミソリを使って嫌がる雅の陰毛を剃り落とす、今に至る。
もちろんカミソリを見た瞬間、雅は激しく抵抗した。
これをされたら、彼氏の前で裸になることはできないからだろう。
だが、ヒールと化した俺の前ではそんな抵抗が却って興奮させられる。
彼氏のことまで気を遣う悪者がどこにいるっていうんだ?
結果、雅は涙を流しながらただただ陰毛を剃られるという屈辱的な行為に歯を食い縛って耐えるほかがなかった。
「先生、これで彼氏と安心してエッチできるな? 大分綺麗になってきたぜ」
もちろん彼氏とそんなことができなくなるのをわかっていながら、俺は口を開く。
「はっ……、ああっ……、ああぁ……」
カミソリの皮膚を撫でるような優しい刺激は、かなり雅の身体を疼かせていたらしく、カミソリを動かして大陰唇の辺りを綺麗に剃っている時なんて、湧き出す清水のように割れ目からジュクジュクと愛液が染みだしてきたほどだ。
「それにしてもすんげー濡れすぎだろ、コレ。ジェルなしでも綺麗に剃れそう。つーか、先生マン毛剃られるの好きなの?」
「ち、違……う、剃られたことなんてな……あっ……く」
「へえ、じゃあコレが初パイパンか。ケツの穴まで完璧に綺麗に剃ってやるからな。子供の頃に戻った気がして懐かしくなるぞ?」
「あ……、あん、あぁ……い、いやあ……」
「まあ、子供はこんなにクリトリスがでかくねえんだけどな。剃られるだけでこんなに固くなっちゃって。後でたっぷり可愛がってやんねえとな」
そう言って存在を主張している陰核をツンと指で弾いてやると雅は、
「ああんっ!」
と、一際高い声で鳴いた。