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縄灯
【SM 官能小説】

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縄灯(前編)-9

十七歳の私は、キジマを誘惑したのだ。身の毛のよだつような嫌悪感を抱くキジマを誘惑する
ことを、私の内奥に虚ろに漂うものが鎌首をもたげるように囁いたのだった。

あの屋敷の部屋で、私が脱いだ下着を手にしたキジマは、色めくような瞳を潤ませ、私の下着
に鼻をあて、飢えた餓鬼のように私の下着を舐め尽くした。そして物憂い紫色の唇に涎を滲ま
せながら、のっぺりとした瓜実顔の窪んだ瞳から淫らな視線を私の裸身に這わせたのだった。

「舞子ちゃんって、まだ高校生なのに、いいからだをしているよね…あそこの毛もすっかり
生えあがった大人だね…お母さんにそっくりだよ…」

まるで濡れた藻が私の肌全体に絡むような淫靡な声で囁いたキジマは、黒々とした麻縄の束を
手に取る。

「怖がらなくていいじゃないの…楽しいお遊びと思ってね…」

キジマは私の裸身を舐めるような声を発すると、細く卑猥な指で縄をほぐし始めていた。
そして、慣れた手つきで私の腕を後ろ手に捩るあげると、薄くふくらんだ青い胸肌に幾重にも
縄を這わせたのだった。

その瞬間、初めて縛られた私の中に痺れるような蒼い性が溶け始めていた。ただ肉体を戒めら
れる快感よりは、母のものであるはずのキジマが私に魅せられ、より淫らなものへと変容して
いくその姿に、私は母に対する優越感を感じていたのだ。

その理由はわかっていた…。いつのまにか屋敷を訪れていた母が、扉のすき間から密かに私た
ちの行為を盗み見ていたからだった。キジマは気がついていなかったが、私は覗き見る母の
虚ろな視線をはっきりと全身の肌に吸い込んでいたのだ。


キジマは、縛った私を床に押し倒すと、蒼白い尻肉をふりながら私のからだを激しく貪った。
彼ののっぺりとした乾いた皮膚が私の肌に擦れ、ねっとりとした生息い吐息が首筋にかかる…。

何よりもキジマの指爪に私は背筋が震えるような欲情に疼いていた。
毛を毟られた鶏がらの細い足のような指先には、鋭く尖った爪がひょろりと伸び、鈍色の光沢
を滲ませていた。爪先は私の頬をなぞり、首筋を這い、やがて肩胛骨から胸のふくらみへと
這い下っていった。まるで鋭く尖った刃物のようなキジマの爪は、私のなかに初めて生々しい
性の情感を滲みださせようとしていた。

キジマはその爪を私のまだ青い乳肉に喰い込ませながら、紫色の唇で乳首を執拗にしゃぶった。
さらに下腹部に徘徊する指は、ねっとりとした湿り気を含んだまま腿肌をなぞり、蛇の鱗のよ
うに私の肌に吸いつきながら恥丘の淡い草むらに潜り込んでいく。

そして…爪先が私の淫唇の縁をなぞりはじめたとき、私の咽喉がごくりと鳴った…。

「舞子ちゃんって、まだ処女なんだ…男は初めてなんだね…」

キジマは閉じられた肉の合わせ目を爪で引っ掻くように開こうとする。湿った肉襞に爪先が
淫靡に忍び寄るのがはっきりとわかった…。

私はキジマの指で陰部の粘膜を弄くられ、捏ねまわされ、彼に呪術をかけられたように性が
芽生え、甘美な意識に微睡みはじめるように目を閉じた。


そして、ふと我に帰るように目を開けたとき、私の目の前には蛇の生首のように白々と照り
映える彼の肉根がぬらぬらと濡れながら漲っていたのだ。キジマは薄笑いを浮かべ、私の弛み
はじめた肉裂を狂おしくこじ開け、青い肉襞を深く裂いていったのだった…。

そのとき能面が剥げ落ちたような歪んだキジマの顔が鏡面のような光沢を放った…。その鏡に
は、私の中に潜む鬼が唇から血潮を垂れ流し、せせら笑う幻影が確かに映っていたような気が
した…。




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