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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VSおかん-1




  ◇  ◇  ◇ 



あれから俺は一人、居心地悪そうに石澤家のリビングのソファーに座っていた。


「コーヒーにする? 紅茶にする?」


カウンターキッチンの向こうから、石澤母の優しそうな声が響いてきた。


「あ、じゃ、じゃあコーヒーお願いします」


俺は少しどもりながら遠慮がちに頭を下げた。






結局歩仁内の余計過ぎる気遣いで、強引に俺だけが石澤家に上がることになり、気まずいながらも石澤母と二人でお茶を飲む羽目になってしまったのだ。


自分の娘に彼氏がいたことは、どうやら石澤母には初耳だったらしく、興味津々と言った感じでカウンターキッチンの向こうから俺をチラチラ見てくる。


石澤母曰わく、やっと石澤が寝たとこなので、彼女の部屋に上がる前にリビングでぜひお茶をと勧められ、断りきれずに今に至る。


しかし俺には、石澤母がどうも俺から交際の様子を根ほり葉ほり聞きたがっているように思えて、どうにも落ち着かない。


俺は貧乏ゆすりをしながらリビングのあちこちをチラチラ観察していた。


デカいテレビは呑気にドラマの再放送を映し出していた。


綺麗に片付けられた広めのリビング、アンティーク調の大きな食器棚、シンプルだけど質の良さそうなダイニングテーブル、座り心地のよいクリーム色のソファー、高そうなカーペット、重厚な雰囲気のカーテン……などなど。


こだわりがあるようなインテリアを見ると、石澤母が審美眼の持ち主に見えてきてついつい身構えてしまう。


変な服を着てるけど、俺が自分の娘にふさわしいかどうかを見極めるために、ここに座らせたんじゃないか?


変に不安を駆り立てられた俺は、貧乏ゆすりをやめ、背筋をピンと伸ばしてキチンと座り直し、なるべく失礼がないように両膝の上に拳を作って黙り込んだ。



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