VS歩仁内-4
「……ホントだな」
俺が小さな声でそう言うと、歩仁内はガッと肩を組んできてニイッと笑い、
「んじゃ、どこまで進んだかは明日詳しく教えてね」
とだけ言って、自分の席に戻って行った。
……アイツ、なかなか気が利くじゃねえか。
結局まんまと歩仁内のペースに乗せられている自分に苦笑いしつつ、俺は周りにそれが悟られないように机に突っ伏した。
付き合い始めてもうすぐ三カ月、それなりにうまくいってると思う。
放課後はどっかに寄って遊んだり、たまには学校に残って真面目に勉強してみたり。
休みの日だって結構一緒にいる。
ブラブラ街を歩いたり、受験生らしく図書館で勉強したり、俺の家でゲームしたり。
それはそれで楽しいし、幸せに思う。
ただ健全な男子高校生としては、そんなプラトニックな交際だけでは物足りず、どうしてもそれ以上のことを考えてしまうのだ。
だが沙織曰わく、石澤は男が苦手だったらしいし、俺が以前郁美にした最低な行為を石澤に話してしまったこともあって、なかなか踏み込むことができなかった。
奥手な倫平には散々たきつけるくせに、いざ自分のことになれば臆病風に吹かれてしまう、そんな自分が情けなくなってくる。
そんな現状を打破できればと、小さな期待を胸に抱いて、学校が終わるのを待った。