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あいかわらずなボクら
【青春 恋愛小説】

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VS歩仁内-3

それでも、めげずに俺に一生懸命話しかけてくる歩仁内は、俺なんかよりずっと大人だと思う。


そう思うからこそ、余計に冷たい態度をとるガキな自分。


コイツといると、自分の大人気なさが恥ずかしくなってくる。


浮かない顔で、楽しそうに話をしている二人を眺めていると、やがて沙織が、


「じゃあ放課後、桃子の家に行く前にお菓子でも買って行こうね」


と、ニッコリ笑ってそう言い残し、俺達に手を振って教室を出て行った。


「……なあ、マジでお前も来んの?」


俺はため息混じりに歩仁内の顔を見上げた。


「うん、桃子ちゃん心配だしさ」


臆面もなく、サラッと自分が思っていることを言えるのは少し羨ましい。


「だって……お前が石澤の家に見舞いに行くって言ったら、本間の奴やきもちやくんじゃねぇの?」


俺は、歩仁内の彼女である本間江里子の顔を思い浮かべていた。


本間江里子は、眼鏡をかけた大人しい地味女だが、実は顔立ちは結構整っているし、潤んだ瞳が童顔に妙にマッチしていて、守ってやりたくなる……と、俺の友達が何人か言ってたっけ。


そういう“ダイヤモンドの原石”的存在だった本間江里子をちゃっかりゲットした歩仁内は、やはり食わせ者である。


「大丈夫大丈夫。江里子も連れて行くし」


勝手に人数増やしてるし。


病人の家に五人でワイワイ見舞いに行く光景を想像すると、俺達の好意は迷惑以外の何者でもないような気がしてきた。


……やっぱり俺、行くのやめようかな。


そう考えながら、黙ってズボンのポケットに手を突っ込んで下を向いていると、突然歩仁内が俺の肩をポンと叩いて、


「まあまあ、おれは桃子ちゃんに挨拶だけしたらすぐにみんなを連れて帰るからさ。もし桃子ちゃんの風邪もそんなにひどくないようなら、二人きりでイチャイチャしてこいよ」


と、にやけた顔をこちらに向けてきた。



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