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口伝つちのこ異聞
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口伝つちのこ異聞-6

「あなたは三度目って言ったけど、いつからそう思ったのです?」
「二回目の時です。田の屋の女が忘れられずにあの思いをもう一度と電話したんです。そうしたら宿は選べないって言うんです。なぜかって訊いたら、村全体で運営してるからだって。それでがっかりして断ろうとしたら、何て言ったと思います?ほかの宿も十分お楽しみになれると思いますって言うんです。それだけでぴんとくるでしょう。どうも宿泊者のリストがあって管理調整かなんかしてるんじゃないかな。向こうもそれしか言わないんです」
「同じ宿じゃまずいんですかね」
「うーん。憶測ですけど、同じ設定じゃやりにくいでしょうし、馴染みをつくると何かと面倒なんでしょう。女が変わればまた別の話を作れるってことじゃないかな。もし一回りローテーションが回ったら女を変えればいい」

 駅が見えてきて、男は腕時計に目をやった。
「間に合うな。一時間に一本ですからね。乗り遅れたら大変だ」
後ろを見るとさらに二人の男が急ぎ足で歩いてくる。
「あの民宿のこと、誰かに話しました?」
私の質問に男は笑いながら手を振った。
「言いませんよ。これ以上予約が増えたら困りますよ。こんな男の天国、教えたくないですね。そうでしょう?」
「そうですね…」
私は苦笑して答え、老婆が語ったつちのこの話を思い出して、話が逆になっていることが何だか可笑しかった。


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