プロローグ-2
「はあ、これを穿かないといけないのか…」
下半身裸の状態で、ショーツを手に取る優。
こんな姿を誰かに見られたら生きていけない、なんてことまで考えてしまう。
ジーパンだけ穿くというのも考えたが、ショーツの行き場がない。
ジーパンの下なら、誰も見ないだろうと、優は意を決して、ショーツに足を通した。
サイズはほぼぴったりだ。
次に、ジーパンを穿く、これで外見からは、まさか女の子のショーツを穿いているとはわからないだろう。
その日は、それから程なくして帰ることとなった。
とても勉強するような気分にはなれなかったからだ。
玄関先で、麻里とお母さんが見送る。
「優君、ズボンは洗って返してくれればいいけど、下着は捨てちゃっていいからね。」
「え?」
少し疑問に思ったが、それはそうだ、やむなくとはいえ、男が穿いたショーツを、また娘に穿かせるのは流石に出来ないだろう。
「麻里には同じの買って上げるから。」
「何かお母さんが騒がせちゃってごめんね。優君またね。」
「うん、バイバイ。」
優は家に着き、母親にズボンのことを言われると、今日の出来事を素直に話した。
もちろん、すぐに着替えて、麻里のジーパンは洗濯され、ショーツは指示通り捨てられることに…
その日の夜、ふと優は思った。
「あのパンツ、捨てちゃうんだよな。」
好きな子ショーツ、男の子なら誰でも憧れる物。
スカートで体育座りをしているとき、身体測定のとき、プールの着替えのとき、チャンスがあれば男なら誰もが見たいと思うもの。
それは、性知識を身につける前でも本能的に存在する意識。
それが、見えるのを通り越し、今この家の、自分の手の届くところにあるのだ。
もはや優の頭はショーツで埋め尽くされていた。
優は夜中にこっそり起き出し、麻里のショーツを探した。
両親がおきないように、こっそりと…
各部屋のゴミ箱はくまなく見たがない。
次に押入れを開けると、要らない衣類の中に、隠されるようにまぎれたショーツを見つけ、それを自分の部屋に持ち帰った。
そう、このショーツが、優のすべてを狂わせて行くのである。