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Wanderer
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wanderer二人目-1

「ちっ……」
海外沿いの林の中、茂みに隠れている天が息を切らせながら舌打ちをした
「まずい…非常にまずい」
ギルを片手に持ったまま絞り出すように呟く
瞬間、天の頭スレスレの場所を辺りの木を巻き込みながらトゲのついた鉄球が横切った
「間一髪…」
そう言った瞬間、背筋に寒気が走る
「ッ…」
言うが早いか天の隠れていた茂みに鉄球が叩きつけられる
「ちぃぃ!!」
なんとかジャンプで避ける。鉄球は叩きつけられたままだ。このまま着地と同時に走る!!
…はずだったのだが
「ダーーリーーンッ!!!!」
「ぶっ!!」
着地の直前天の顔に2つの柔らかい『何か』が押し付けられた
「会いたかった〜!!ダーリン!!」
そう叫びながら桃色の髪に海賊帽をかぶった少女が標準から見ると二周りから三周りほど大きな胸に天を押し付け抱き絞めた
「っっ!離れろ『ピンク』!!」
何とかそう言うと少女の抱擁から逃げ出す
「んもぅ、ダーリンったら連れないんだから。でもそこもス・テ・キ」
ポッと赤らめた頬に手を当てる少女
「……窒息死させかけた奴が言うセリフかよ…」
この海賊帽をかぶった少女、本名『ピンキー・クロスボーン』通称『ピンク』は数年前偶然請け負った海賊退治の際に敵の頭の娘だったのだが、天が瞬く間に海賊の手下と自分の父親を叩きのめした事に感動し、さらに一目惚れしたらしく、それ以降『自称婚約者』を名乗り、行く先々に現れてはこうして鉄球片手に天に襲いかかってくるのだ
「だからなんでいつもいつも俺に殴りかかってくるんだ!!」
距離を取っている天がピンクに叫ぶ
その言葉にピンクが顔を赤らめ体をくねらせる
「だってダーリンったらいつもアタシ見たら逃げ出すし婚約者だって認めてくれないし、だから気絶させて『キセイジジツ』さえ作っちゃえば…」
「帰れ!!」
間髪いれずに言い放つ天
「いやん、照れちゃって〜ダーリンったら可・愛・い」
そう言い投げキッスを放つ
「だからお前なー…」
投げキッスを叩き落とし、ため息混じりに肩を落とす
「まぁまぁ、天。お主を好いてついてきておるのじゃ、そう邪険に扱う事もあるまい」
二人の会話にギルが口を開いた
「それにお主のようなその日暮らしの放浪者に本気で惚れておるんじゃ、こんな娘っ子、ほかにはおらんぞ?」
「そうそう、ダーリンについて行ける女なんてアタシくらいなものよ!」
ギルの言葉にピンクがズズイッと顔を近づけた
「っー…」
顔に手を当て参ったように座り込んだ
「それに今回の仕事は娘っ子がいた方がやりやすかろうよ」
「そりゃあそうだがなー…」
顔に手を当てたまましばらく何か考える天
そしてなにか妙案が思い浮かんだのかギルを片手に立ち上がり両手で顔を叩いた
「よし、ピンク手伝え」
天の言葉にピンクが蒼い瞳を輝かせた
「ダーリンの頼みならアタシ頑張って聞いちゃう!!」


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