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Wanderer
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wanderer二人目-2

「たしかに『頑張って聞いちゃう!!』って言ったけども…」
ピンクが呟く
「なんでアタシが『教会』なんかで働かなきゃならないのよ〜!!」
礼拝堂のど真ん中でシスター姿のピンクが大声で叫んだ
「うぅ…本当なら今頃ダーリンと愛の語らいの真っ最中のはずなのに」
ヨヨヨ…っと芝居がかった座り方でハンカチをくわえる
「はぁ…虚しい…」
ところで、何故ピンクがシスター姿で教会で働いているのかと言うと
時間を戻して教会前
「んもぅダーリンったら式挙げるんなら挙げるって言ってくれなきゃ〜アタシにも心の準備っても・の・が・キャ〜」
そう言うと両手を頬に当てる
「そこのいい具合に頭イっちゃってる海賊娘、人の話は最後まで聞かんかい」
飽きれ半分な調子でピンクに言い放つ
「ところで、教会のお宝でもいただいちゃうの?」
「いーや、っとその前に…ピンクこれに着替えろ」
ピンクに袋を差し出す天
「なになに〜ウェディングドレス〜?」
そう言いながら袋から服を取り出すと出てきたそれは西洋教会の女性聖職者が着る法衣、いわゆる『シスター服』と言われるものだった
「まさか…ダーリンにそんな趣味があったなんて…でもそんなダーリンでもアタシは受け止めてみせる!!リクエストがあれば巫女服でもナース服でも…」
予想通り大暴走するピンクの脳天に鞘に納まったままのギルが振り下ろされる
「人の話は最後まで聞く。オッケー?」
「オーケー…」
頭に漫画のようなタンコブを作ったピンクが涙目で答える
「んじゃ話すぞ」
天の話ではこの教会、裏では麻薬の密売や人身売買を行っているらしくその一味を一網打尽にするのが今回の仕事らしい
「で、アタシはなにをすればいいの?」
どんな大仕事を任されるのかワクワクしながら期待の目を向ける
「『見取り図』作り」
「え゛?」
『見取り図』、んなもん普通仕事前に作っておくもんだろうと思われるものである
「いや〜この教会な、男子禁制とかなんとか言って神父の親父のハーレム状態なんだよ。堂々と俺が入って見取り図書くわけにもいかねーから困ってたんだ〜これが」
そう言うとピンクに白い紙を渡す天
「じゃあピンク、俺は逃走経路調べたり取引の日を調べたりで忙しいから。あ、そうそう無理はすんなよ、じゃぁな〜」
ヒラヒラと手を振りながら街に消えていく天を無言で見送るしかないピンクが教会前に残される


そして今にいたるわけである
「あれから三日、ダーリンからなんの音沙汰もなくただ祈って掃除してご飯食べて寝るだけの生活…もうイヤ…」
そう愚痴をこぼしながら礼拝堂の机を雑巾で拭いていく
「あ〜ぁ、これがダーリンとのあんま〜い新婚生活が行われる新居だったら喜んで掃除するんだけどな〜」
明らかな手抜き宣言を発しながら神父の机の下を拭こうとした時だった
カチッとお決まりのようなスイッチの音が響き、礼拝堂の中心に地下への階段が現れた
「…どうしよっかな〜」
どう考えてもこれが『取引場所』的な所に通じている通路である
天には見取り図だけを書くように言われているのだが…
「……」
しばらく腕を組んで悩んでいたピンクだったのだが
取引場所を押さえる。
天、仕事しなくていい
て言うかアタシお手柄
天、感謝
イコールLOVE発生
結婚
「いよぉぉし!!アタシ頑張る!!」
何がイコールなのか全くもって不明なのだが、ピンクは自分のなかで勝手に結論を出し意気揚々と階段を降りて行った


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