はじめての、えっち。-8
物音を立てないように、こっそりと浩紀の部屋に戻ったときには、もう午前1時を過ぎていた。
部屋のドアを閉め、鍵をかけた後。
ふたりは縺れ合うようにして、床の上に倒れた。
「浩紀……やっぱり、恥ずかし……」
千春の言葉は、浩紀の唇で塞がれてしまう。
柔らかな感触。
その隙間から、舌が絡みついてきた。
触れあう粘膜のぬるりとした感触に、皮膚の下がぞくぞくする。
キスって……こんなにどきどきするものなんだ……。
離れたくない、いつまでも、こうしていたい。
初めての経験に、体がぶるぶると震え出す。
浩紀が顔を上げ、心配そうに見つめている。
「チイ……怖い?」
「ううん……」
再び重なった唇が、燃えあがりそうに熱い。
心の中が、好き、という言葉で埋め尽くされる。
浩紀……。
胸元のボタンを、軽く引っ張られた。
「やっ……」
「チイのこと、もっと見たいんだ……いい?」
暗い部屋の中、窓から差し込む月明かりが、その真摯な表情を照らす。
もう、逃げたくない。
「い、いちいち、聞かないで……! 嫌だったら、さっき……あのまま家に帰ってたに決まってるじゃない!」
わざとぶっきらぼうな口調で、恥ずかしさを紛らわせた。
……こんなときまで、可愛く言えないなんて。
自己嫌悪に陥りそうになったのに、浩紀は声を殺して笑っている。
「じゃあ、もう聞かない。恥ずかしいんだろ? ほんと、わかりやすいよな」
「は、恥ずかしくなんか、ないって……あ……」
さっきよりも重く浩紀の体がのしかかってきて、白いシャツのボタンが、あっという間に全部外されてしまう。
そこには、飾りも何もない下着に包まれた、ささやかな胸のふくらみがある。
見られちゃう、見られちゃう……。
「……すごい、綺麗だ」
興奮したような声と荒い呼吸が、耳元で聞こえる。
ブラジャーの上からやわやわと揉まれていくと、こそばゆくてたまらなかった。
「ん、くすぐったい……き、綺麗なんかじゃないよ、やだ、あんまり見ないで」
「チイは、俺にとっては誰よりも綺麗だし、可愛いって……」
強引にブラを押し上げられたその下に、真っ白な乳房がふるふると揺れている。
その先端に、ちゅっ、と口をつけられたとき、それまでとは違う感覚が訪れた。
なに……これ……。