誕生祝い-6
俺は早速次の日、甘粕が購買に並んでいるところを掴まえたよ。
「これ、お袋が作ったチラシ寿司だけど、やる。食べてくれ。それと……おめでとう」
それを受け取ったときの甘粕の顔はハトが豆鉄砲食ったときみたいな驚いた顔をしていたよ。
「良いのか? お前が食う分じゃないのか?」
「ああ、俺昨日腹いっぱい食べたから。じゃあ……」
その後俺は購買に並んでパンを買おうとしたが、焼きそばパンやサンドイッチは売り切れて、メロンパン1個しか買えなかった。
だが、男はそんなことで愚痴は言うもんじゃない。
牛乳も買えなかったので、俺は水のみ場で水を飲みながら、メロンパンを齧ったよ。
でもなんかこう気持ちはとっても充実してたなあ……うん。
男はメロンパン1個でも幸福になることができるんだ。