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天野安冶の受難
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甘粕の助言-2

翌日俺は昼休みに男達に呼び出された。他所のクラスで顔も知らない奴らだ。
そいつらはニヤニヤ笑って俺に用事があるから黙ってついて来いと言う。
背は高くないが横に大きくがっちりしている。
顔は四角いのと五角形のが2人だ。
学校の裏手まで行くと四角いのが言った。
「尾志谷麗子を知ってるだろう? お前に侮辱されたと言ってた。
あいつに頼まれたから、ちょっと柔道の稽古の付き合いをしてもらう」
俺はそのときポケットから胡椒の粉を掴んで2人の顔にぶつけた。
両手同時にだ。そして走った。奴らの苦しそうな悲鳴が響いた。
その後で俺は担任から呼び出されたので、正直にあったことを言った。
2人は保健室で目を洗う手当てを受けていた。俺は正当防衛を訴えた。
結果、尾志谷麗子も呼び出されて散々油を絞られたようだ。
俺は尾志谷麗子に逆恨みされて暴力を受けようとした被害者という立場を貫いた。
奴らが2人がかりで何かしようとした点が俺には有利だった。
しかも2人とも柔道初段だ。一方俺はスポーツは主に観戦専門の平凡な学生だ。
胡椒はあらかじめ両方のポケットに入れておいたが、その後で鼻水やくしゃみにしばらく悩まされた。
胡椒は使う方も多少被害を蒙るんだ。
この件は問題として取り上げられた為に、そいつらはその後で俺に手を出すことはできなかった。
後で甘粕にそのことを報告すると、すぐ逃げたのは正解だったという。
柔道の有段者に目潰しの後攻撃しようとすれば、向こうは体を捕まえに必死になるだろうし、そうなったらひどい目にあっただろうというんだ。
向こうは目潰しをされて頭に来てるから下手すると関節を逆に決められてへし折られたかもしれないと。
ぶるるる……ぞっとするぜ。
とにかく俺は今五体満足無事でいられることに感謝したよ。
こういう修羅場は二度とごめんだぜ。
今回はあまり楽しい話しでなくて、ごめん! 
じゃあ、また。いつか。
いつかがあったらな、ばーい♪

         完 


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