三角の真実-2
ー隆太sideー
俺は、家に帰って一人、悶々と考え事をしていた。
数週間前のこと。
「隆太。話しがある。」
珍しく真面目な顔をした圭一。とりあえず、二人で屋上に向かう。
「なんだよ、話って。」
「隆太、俺さ、もうすぐ家庭の事情で、アメリカに行くことになった。」
衝撃的だった。
いつも一緒にいる仲間がいなくなる。
それは突然のことだった。
「冗談じゃないのか……」
「冗談であってほしいよ、俺も。」
「明莉も寂しがるだろうな。」
「ははっ。だといーけど。」
「お前、明莉に気持ち伝えなくていいのか?」
「明莉はお前のことが好きだからなぁ。」
「………そうか?」
「おう、あれは間違いないはずだ。それに、隆太こそ、明莉のこと好きなんだろ?バレバレだっつの。」
圭一に自分の気持ちがバレていたとは、驚いた。
「あーあ。俺がいなくなったら、お前らすぐ付き合って、キスもセックスもすんだろーな。いいな。」
「俺はそんなことできそうにないな……」
「ったく、チキンだな。男なら堂々と告白しろっての。」
「それはお前にも言えるだろ?」
「ふられるって分かってて言うのはつらいもんだぜ?」
「…………。」
「ま、それでさ。俺からお前に頼みがあるんだけど。」
「なんだよ?」
「俺、最後に明莉とセックスしたいんだ。」
「本気で言ってんのか?」
「好きな女とセックスするってのは男にとって最高だろ?」
「そりゃそうだけど……でも、」
「まぁ、聞けよ。俺は、友達として明莉とサヨナラするより、いっそ襲って、とことん嫌われて、未練なんてない状態で去りたいんだわ。」
「襲うなんて、許されねーだろ。」
「俺が放課後の教室で明莉を襲って、そこへヒーロー隆太様が登場する。悪役の俺は逃げて、二人っきりのお前らは相思相愛で、キスでもハグでもして、めでたしめでたしってこった。お前にとっても悪くないだろ?」
「でも明莉を襲うなんて…」
「頼むよ隆太!俺、明莉と思い出作って終わらせたい。そんでお前らくっつけたら、俺が願うことはそれ以上ないんだ!頼む、この通りだ!」
深く頭を下げる圭一。
圭一のあまりにも必死な姿に、俺はダメだとは言えなかった。
「仕方ないな。」
「ありがとう!隆太!」
今、俺は後悔している。
すでに明莉の中では、圭一は獣と化してしまったかもしれない。
しかし、俺たちは仲間だった。毎日を共に過ごす、大切な仲間だった。
俺は、明莉を騙して、圭一の純粋な気持ちさえも踏みにじった。
俺は最低だ。
衝動的に携帯にメールを打ち込む。圭一へだ。
「空港まで見送りたい。いつ行くんだ?」
しばらくして返信が来る。
「明日10:00羽田空港だ。ありがとな。」
明日……!?もう時間がないしゃないか。
俺は、明莉の番号にコールする。
「もしもし、明莉?夜遅くごめんな。話があるんだ…………………」