『SWING UP!!』第13話-23
「あうん……」
胸から、緩やかで甘い感触が立ち上ってきた。吉川の右手が、乳房に押し当てられていたのだ。
「よみの胸、気持ちいい……」
ふくよかで、やわらかくて、触っていてこれほど気持ちの良くなる物質を、他に知らない。
「私も……気持ち、いいよ…」
“岩清水”で淫靡な交わりをしていたときとは全く違う、穏やかなスキンシップを、二人は繰り広げていた。
「ここ、さ……何が、つまってるんだろう……？」
「ふふ。“浪漫”じゃないのかな……」
「……よみ、らしいね」
むにゅり…
「んっ、こ、こう、クン……」
立ち上る愉悦が強くなった。乳房への愛撫が強まった証である。
「んっ、あっ、あっ、ああっ……」
右手だけでなく、左手もそれに加わって、両方の乳房を揉みしだかれ始めた詠子は、堪らずに甘い声をあげた。
“自慰（オナニー）”の時にも、胸への刺激は何度も施してきた。しかし、愛しい人の手で触られることが、こんなにも気持ちのいいことだとは、思いも寄らなかった。
（おっきいの、邪魔なだけだって、思ってたけど……）
夢中になって胸を揉んでいる恋人の、魅了されたような表情を見ていれば、肩がこるばかりで取り得は何もないと感じていた胸の大きさも、詠子にはありがたいと思えるようになっていた。
…何処かの誰かが聞いていたとしたら、呪詛でもかけられそうだ。
（てめーは、わたしを怒らせた…）
…えっ、な、なんか、意識が遠く……う、ううっ！？
……………
「こう、クン。私、キミが欲しい…」
「ああ…。僕も、我慢できないよ…」
……あ、あれ。ちょっと、時間が進んでる。ま、まあ、いい。巻き戻そうなんて、野暮はよそう。
「ゴム、用意しなきゃ……」
ソファ・ベッドから少し離れたところに、スキンの箱は置かれている。
「………」
それを取りに行こうとした吉川の動きを、詠子は、腕を掴んで制していた。
「？」
「私、今日、大丈夫だから……」
「よみ…」
彼女の身体を考えれば、スキンはすべきだろう。しかし、彼女の想いを考えれば、生身の繋がりを果たしてあげたい。
（………）
頭をよぎる、万が一の責任。しかし、それを受け止める覚悟は、もう決めていたし、詠子に言葉で伝えてもいた。
「よみ、入れるよ」
「はい……」
ちゅ、と軽いキスを送り、吉川は詠子の膝裏に手を当てて、太股をゆっくりと割り開いた。まさに“観音開き”によって顕になった“観音様”が、淫靡でありながら神々しいその様を、吉川の眼下に晒していた。
「あ……」
剥き身の先端が、詠子の膣口に押し当てられる。処女膜は既に裂け、その入口は広がっているが、まだ違和感は残っている。