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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第13話-22


「キミのせいなんだからね」
「う……」
 ベッドの上で“失禁”してしまったので、ソファに位置を移して、二人は裸のままで寄り添っていた。二人が腰を下ろしているソファは、ひとり分であれば寝床としても使えるので、ベッドの代わりにもなる。
「もお……」
 “クリ×リス(陰核)”への猛烈な愛撫によって、おもらしをしてしまった詠子は、しかし、そのピンク・フレームの眼鏡を外していないことから、それほど機嫌を損ねてはいないようでもあった。
(こうクンの顔に、お、おしっこ、したの……その……ちょっとだけ、気持ちよかったから……)
 恋人の顔に向けて排尿するという、あまりにも背徳的なシチュエーションに、酔っていたのである。放尿している間、クセになりそうなむず痒い衝撃が、背中を走ったのも否定できないのだ。
「キミ、どうしてくれるのかな?」
 とはいえ、恋人の前で、初めて排泄する姿を見せてしまったことへの恥じらいは深く、その原因を作った吉川に、女の矜持として“対価”を求める仕草をしてみせていた。
「えっと……」
 クリーニング代を出します、とか、洗濯するのを手伝います、とか、そういう次元の話をしているのではないと、吉川も気がついていた。
「よみの恥ずかしいところを見てしまいましたので…」
「うん」
「よみを自分のお嫁さんにしたいと思います」
「ぶっ!?」
 詠子が壮絶に吹いた。
 高級ディナーのひとつも、エスコートしてくれればいいかなと考えていた詠子だったのだが、まさかの一足飛び回答を出してきた吉川に対して、頬がにやけてくるのを止められなかった。
「そこ、笑うとこ!?」
「だ、だって、こうクン……!」
 口元を押さえて、込み上げてくる笑いをなんとか押し留める。自分の気持ちになかなか気づいてくれなかった朴念仁が、“おしっこするとこ見ちゃったんで、責任とってお嫁さんにします”という意味のことを、真面目な顔で言うものだから、これで笑うなというのが無理であった。
「ご、ごめん。笑ったりして、ごめん」
 息も絶え絶えに、詠子が言う。気持ちを素直にぶつけてくれた相手に、申し訳ないと思いつつも、どうしても収まらない笑いを、詠子はなんとか宥めていた。
「ま、まさか、ね。こんな形で、プロポーズされるなんて、ね。思ってなかった、ていうか、キミ、気が早いっていうか」
 交際を初めて、2ヶ月足らずなのだ。しかも、お互いまだ学生の身である。
「……本気だよ」
「!」
 ぎゅ、と身体を抱き締められた。その強さは真摯さに溢れていて、いつものような泡を食った様子は全くない。
「僕の周りにも、学生だけど婚約した人がいる。……僕は、よみ以外の女の人は、もう考えられない」
「こう、クン……」
 純朴な眼差しを浴びて、詠子の胸は動悸を始めた。
「わかった、わ」
「よみ?」
 詠子は、顔を吉川に近寄せて、軽く唇を塞いだ。
「ありがとう、こうクン。私のこと、そこまで好きになってくれて…」
「えっと……」
「私も、キミのことしか見えない。だから、今言ってくれたことの証を……私に、ください」
「……ああ」
 吉川は、そのまま、詠子の身体をソファ・ベッドに押し倒していた。
「ん……」
 その余勢で、詠子の唇を再度塞ぐ。思いを注ぎ込むように、深く、深く、唇を重ね合わせる。
「ん、んん……」
 詠子の喉が、悦びに鳴った。その顔に向けて放尿してしまったことは、今はどこかに放り出して、思いを繋げるキスに夢中になっていた。


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