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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第13話-10


(添い遂げる、か……)
 航を送り出してから、部屋の住人となり、ベッドの上で枕を抱きかかえて、うつ伏せになっている結花である。いつぞやと同じような格好で、航のことを想うその姿は、やはり“乙女”というべき姿であった。
(航……)
 瞳を閉じて、玄関先で交わした濃厚なキスを思い出す。
 気持ちを鎮めてもらう為に、自ら催促したわけだが、今度はそのキスの感触を思い出してしまって、身体が熱く火照ってしまう。
(まったく、もう……)
 厄介な“魔法”をかけられたものだ、と、自分でも思う。
(………)
 体中を包み込む火照りが、とある一点に集まってくる。これまた厄介なことに、むず痒くもどかしい感覚を伴って、結花を蟲惑的に誘ってくる。
「ん……」
 誘惑に負けて、結花の指が、火照りの止まない太股の間に伸びていった。
「ん、う……」
 スパッツの上から、ゆっくりと円を描きつつ、己の急所に指を押し当てる。
「は、あ……ん……」
 たちまち立ち上ってきた甘い痺れに、結花は熱い吐息を漏らした。
「航ぅ……」
 己の指使いに、航のイメージを投影させる。
 片思いの真っ最中だった頃は、遠慮がちだったそのイメージだが、想いが繋がりあった今となっては、自分を性的に盛り上げる一助として、積極的に使用するようになっていた。
(いつか、航と、エッチなことも、するんだよね……)
 高校の頃、耳年増な同性のクラスメイトたちの会話から、様々な空想をどこか別の世界の出来事として植えつけられてきたが、いざ自分の身の上に重ね合わせてみると、胸の高鳴りが止まなくなる。
「ん、くっ……あ、ふぅ……」
 うつ伏せのまま、閉じ合わせた太股の間に潜り込んでいる右手を蠢かせる。ショーツとスパッツの、二重の布地の上からでも、その部分が熱く湿り出していることは、指先に感じる熱気と、立ち上る甘い刺激で、よくわかった。
(いやらしい、なぁ……)
 航のことを考えながら、自慰をしている。片隅に残る理性は、そんな自分の浅ましさを責めようとするが、ひとたび始めたその行為に酔いしれている身体は、その責めを受け入れる様子は微塵もなく、したがって、結花の指の動きも、止まることはなかった。

 くに、くにゅ、くにくに……

「んぅ、ふうんっ、んっ、んっ……」
 甘さを伴う艶かしい吐息が、結花の唇から零れている。指を動かす度に立ち上ってくる心地よさが、結花を一層、自らを慰める行為に没頭させていた。
「はぁ……」
 身体を反転させて、仰向けになる。
「んふぅ……」
 右手の指で股の間を慰撫しつつ、左手を胸に押し当てた。
「んっ……!」
 真っ平らとは言え、女性としての性感帯は存在している。だから、触れた瞬間に、びりびりと強い刺激に打たれて、結花の喉が反った。
(ぺったんこだけど……航、イヤじゃないかな……)
 豊胸祈願マッサージの甲斐もなく、一向に膨らむ様子を見せない胸。それでも、一縷の望みをかけて、結花は、その部分への愛撫を繰り返す。
「んぁっ……く、う……」
 耳年増な高校時代のクラスメイトたちの会話でもあったが、“ぺったんこ”の方が、性的な感度はとても強いという。
(よく、わかんない……)
 身近な女性(桜子、由梨、品子)は、一様にして豊胸なので、比較対象が思い浮かばない。母親の紘子も、バストは標準よりやや大きい方だから、その遺伝を受けなかった己のDNA配列を、恨めしく思うばかりだった。


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