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トリツキ
【ホラー 官能小説】

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1日目-1

あれは僕が中学2年生の夏休みのときだった。
僕はお母さんに連れられて、母方のお爺ちゃんの田舎に遊びに行った。
お母さんはお爺ちゃんとしばらく言い合いをしていたが、やがて僕を預けて自分だけ戻って行った。
どうやらお母さんは仕事があるから戻らなければいけなかったらしい。
だけどお爺ちゃんは僕を預かるには時期が悪いと反対してたようだ。
そしてトリツキがどうのこうのって言っていた。
お母さんは『そんなもの、今の時代にいる訳ない』って相手にしなかった。
僕が聞いたのはそれだけだった。
お爺ちゃんは話があると言って、僕を居間に呼んだ。
「今日から3日間だけ、この家から出ないで欲しい。悪いものが村の中を歩き回るから見つけられないようにするために、窓には近づかないようにしなさい。
3日間我慢したら、後は自由に外で遊べるから必ず言いつけを守るようにしておくれ」
僕は窓のない部屋を与えられたので、そこでテレビを見たり、ゲームをしたりして遊んでいた。
そしてトイレに行きたくなったので廊下を通った。
廊下は庭に面していたが、高い塀があるので外からは見えないはずだ。
でも、爺ちゃんは廊下を通る時は素早く通るように言われていたので、そうした。
僕が用を足していると小窓の外で女の人の声が聞こえた。
囁くような声で、なんて言ってるのかよくわからない。
その囁きが何度も繰り返されるので、僕は小窓に耳を近づけて聞き取ろうとした。
すると、小窓がふいに外に向かって一杯に開いた。内鍵をかけてなかったのだ。
開け放たれた小窓からは大きな女の人の顔が覗いていた。
幅25cm、縦35cmの小窓はその女の人の顔で一杯だった。
とても大きい顔で、僕を見ると大きな目を開いてニターと笑った。
そして、囁くように言った。
「みーーつーーけーーーたーー」
僕は全身鳥肌が立って、悲鳴をあげた。
「きゃーーーっ!」
僕は叫んでトイレから飛び出した。
逃げ出す時1度だけ振り返ったら小窓から大きな長い腕が出て来て、それがトイレの開いたドアを抜けて廊下まではみ出して伸びていた。
人間の顔にしては大きすぎるし、腕も長すぎる!
そして空気を掴むように長い指を握りしめたり開いたりしていた。
僕の悲鳴を聞いてすぐ、爺ちゃんが飛んで来た。
そのときには長い腕も消えていた。
僕は見たものを話した。爺ちゃんは、それはトリツキだと言った。
「しまった。トイレの窓に鍵をかけてなかったか……」
爺ちゃんが口惜しそうに言って鍵をかけていた。。
「それにしても1日目に見つかるとは困った。1人足りない」
爺ちゃんは訳のわからないことを言っていた。それから村のあちこちに電話をかけたりしていた。
 


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