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トリツキ
【ホラー 官能小説】

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1日目-2

村の人が何人か来てくれて、家の中や外に札を貼っていた。
そして大人の若い女の人が2人来た。村の女の人で爺ちゃんに頼まれて来たらしい。
2人の女の人は僕をじっと見ていたけれど、爺ちゃんに向かって2人とも頷いていた。
すると爺ちゃんは何度も頭を下げていた。
爺ちゃんはティッシュを細く裂いて指で揉むと細い糸のようなものを作った。
そしてそれを2本持つと2人の女の人にジャンケンをさせて勝った人に引かせた。もう1人の人に残った糸を渡すと言った。
「短いコヨリの方が先なので、美佐さんが今夜お願いします。芳江さんは明日お願いします」
美佐さんと言われたお姉さんは首を振って頬にかかった長い髪を後ろに飛ばした。
「まさか初日から見つかってしまうとは……。で、明後日はどうするんですか?」
「なんとかそれまでには見つける積りです」
僕はいったい何が起きるのか分からないけれど、それを聞いてはいけない気がした。
でも、爺ちゃんは僕を座らせて美佐さんもいるところで、そのことについて説明してくれた。
「良いか、ミツル。お前の見たのはトリツキというものだ。神様か魔物か分からない。トリツキは1年のこの時期3日間だけ、この村の中を歩き回る。
そのときお前のような男の子を欲しがるんだ。夜中の2時になると現れてお前に悪戯をしようとする。
それに取り憑かれたら、お前は気がふれて死んでしまう。
でもトリツキが現れたときに、女の人と抱き合っていれば、トリツキは何もしないで諦めて帰って行く。
でもそのとき相手の女の人の髪の毛を1本抜いて行くんだよ。そうすると次の晩に同じ女の人に抱かれていたなら、お前は取り憑かれる。
2晩めも3晩めもそれぞれ違う女の人に抱かれないと助からないんだ。
言ってることがわかるかい、ミツル?」
僕はびっくりした。 トリツキが夜中に会いに来るというのが怖かった。
しかも3日続けて真夜中に?!
あの大きな顔の、長い腕の……人間ではないものが僕を見に来る?!
僕は、あのトリツキの目を思い出した。僕を見る目が獲物を見つけたときの喜びに輝いていたんだ。
あのニヤリと笑った顔を思い出すだけで全身寒気が走る。それを真夜中に見なきゃいけないのか。怖い、怖い。怖すぎる!
綺麗なお姉さんにハグされて寝るなんて、夢のようで嬉しいけれど、それと引き換えなら嫌だ。
いくらお姉さんに抱かれても、あんなのが怖い顔してやって来るなら、取り憑かれる前に気が狂ってしまうかもしれない。
 


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