『SWING UP!!』第12話-1
第12話
「SPOTLIGHT switch“L” 〜閑話・其の一〜」
本当に、唐突になるが、第3世界の住人である特権を利用して、少し、物語の時間を遡ろうかと思う。
<で、何処まで行くんじゃ?>(談:郷吉)
…『SWING UP!!』の物語が、開始から三年目の六月に入った頃なので、その半年ほど前です、って、じじぃ、あんた、また出てきたの!?
<今となっては、ワシは、おぬしの分身みたいなもんじゃからのう。出ようと思えば、いつでも出られるワイ!>(談:郷吉)
…えっと、ですね、貴方がいると、物語が進められないのですが。
<なんじゃ? もったいぶりおってからに…>(談:郷吉)
…進めてもいいんですが、多分、貴方はまともに見てられないんじゃないかなーと、思うのです、はい。
<ええい、まどろっこしい! なんじゃ、時間を巻き戻してまで、いったい何を見ようとしとるんじゃ!>(談:郷吉)
…何って、ナニです。
<ナニ?>(談:郷吉)
…んじゃ、はっきり言いますね。貴方のお孫さんが、乳繰り合っているところにスポットを充てようかとしているのです、はい。
<な、なにぃぃぃぃ!!>(談:郷吉)
…なんだか、そういう“神さまたちの声”が聞こえましたので。
<き、きさまっ、これまで見向きもしなかった“神さまたちの声”を、今更聞こうというのか!!>(談:郷吉)
…まあ、十年も失踪していたのに、見捨てることなく待っていてくれた“神さまの皆さん”に、感謝の気持ちを込めてといいますか。それもあっての、今回(switch“L”)と、次回(switch“R”)のタイトルの着想だったりもするのですが。
<嘘をつけい! 前話で、いろいろ詰め込みすぎて、肝心の“野球の話”が煮詰まったからじゃろうが!! それで、ワシの可愛い孫たちを出そうなどと、あざとさにも程があるぞ!!!>(談:郷吉)
…否定はしません。まあ、時期的に、プロ野球も、センバツ甲子園も、独立リーグもいろいろ始まるんで、ネタを仕込むためってことで、ひとつ、お願いします!
<く、くぬっ、せ、成敗してくれる! 勇太郎とひとみちゃんに、出歯亀をしかけようなんぞ、許せぬわっ! むっ、こ、こらっ、やめんかっ、やめっ…プツッ、ツー、ツー……>(談:郷吉)
…と、いうわけで。
物語は、本編より遡ること半年ほど前の、とある家庭の夜の生活風景から始まるのであった…。