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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第12話-7


「ふっ、う、ううぅぅぅ……っっ!!」
 “ねむろ・マタニテイ・クリニック”で、女たちが会話をしている、まさにその最中……。
「ううぅ、ううぅぅっ、ううぅぅぅ!!」
 京子は、命を新たに生み出す苦しみと戦っていた。彼女は、30分ほど前に強く産気づき、すぐさま分娩室に運ばれていたのである。
「はぁー、ふぅー、はぁー……う、ううっ、くううぅぅぅぅ!!」
 深く呼吸を整えて、押し寄せてくる陣痛の波をやり過ごす。それでも、堪えきれない強烈な痛みと苦しみに、京子の顔はゆがみ、充血して、汗に塗れていた。
「京子さん、しっかり!」
「落ち着いて、呼吸を整えて!」
「はぁー、ふぅー、はぁー……」
 周囲の看護師に励声を受け、京子はもう一度、呼吸を整える。
「くっ、うっ……はぁー、ふぅー、は……う、ううっ!」
 ずきん、ずきん、と、まるでもうひとつの心臓がお腹の中にあって、それが脈動しながら痛みを発している。
「ぐぅっ、うぐっ、んぐぅぅぅっ!」
 京子は、その衝撃に襲われるたびに、四肢に力を込め、歯を食いしばって、耐えていた。
(まだ、生まれないの……!?)
 焦りが、脳裏をよぎる。早く、この苦しみから解放されたい、と。
「うー、うぎぃぃっ、いいぃっ……!」
「京子さん!」
「ハッ、はぁっ、はぁー、ふぅー、はぁー……」
「そうそう、いいわ。とても上手よ、京子さん」
 無理やり息みそうになって、それを窘められて、京子は呼吸をもう一度、教えられたものに修正する。
「大丈夫、大丈夫……。もうすぐ、もう少し、だから……」
「は、はいっ……ん、ぐっ、んうぅぅぅぅっ……!!」
 不意に、体の奥から、“何か”が込み上げる感覚が起こった。
「!!」
 ぷつり、と自分の中で、その“何か”が弾けて、股の間に水流が迸る。始めは、息むあまりに失禁したのかと思ったが、そうではないようだ。
「破水したわ!」
「京子さん、もうちょっとよ!」
 子宮の中で、胎児を大事に覆っていた羊膜が、その役目を終えたように破れたのだ。生命を育んだ羊水が一気に子宮から産道を通り流れて、京子の胎内で育ったその命が、生まれ出るための道のりを、まるで水の絨毯でも敷くかのように、潤わせていった。
「あ、ああ、ああぁああぁぁぁっっ!」
 どくんどくん、と、鼓動するものが、下りていくのが分かる。それを助けて欲しいと命じるように、京子に脈打つ激痛を与え、息みを促そうとしてくる。
「落ち着くの! 落ち着いて、落ち着いて……」
「ぎっ、うっ、くっ、ううー、うううー」
 ゆっくり、ゆっくりと、息みの加減を調節しながら、広がっているであろう子宮口から、息づく生命を押し出していく。
「う、うぎぃっ!」
 刹那、これまでで一番激しい苦痛が、京子に襲い掛かった。
(いたい、くるしい、つらい、つらい!)
 京子の頭の中を、負の感情が駆け巡る。命を駆けて、命を生み出す覚悟をしていたのに、それを吹き飛ばしてしまうほどの、ひどい苦しみを、京子は味わっていた。


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