『SWING UP!!』第12話-3
「あ、ああぁああぁぁっ……」
ひとみの声が、まるで獣のような響を生み出した。限界が、近づいているのだろう。
昔のように、失禁することはなくなったが、後背位(バック)の体位になって突かれる性感帯が、ひとみにとっての変わらない“弱点”だということは、よくわかっている。
「イキそう、イ、イきそうっ……ま、まだっ……たのしみ、たいのにっ……!」
なにせ、勇太郎とは1週間ぶりのセックスだ。教師として激務に臨む勇太郎が、師走を終えたことで、夜の生活に多少の余裕を持てるようになったのは、最近のことだった。
「まだっ……まだ……いやっ……!」
愛娘の二人を寝かしつけ、大人の時間を迎えてからまだ30分と経っていない。それなのに、早くも訪れた性の高みに、ひとみは躊躇いを見せていた。
「いいんだよ、ひとみ……今日は、何度でもしてあげるから……ひとみが、孕むぐらいに、何度でも……何度でも……」
「ゆ、ゆうたろうっ……あ、愛してるっ、ゆうたろうっ……!」
「あ、ああっ……ぼくも、愛してるよ……!」
獣のような情交ではあるが、確かな愛情が二人にはあった。
「あ、イクッ……イク、イクッ……いっちゃうぅうぅぅうぅぅぅ!!」
「ぐ、お、ううっ!」
ぎゅうぅぅ、と、奥深くまで吸い込まれるかのような、強烈なうねりが、ひとみの胎内で発生した。
「ひ、ひとみっ……受け取って、くれっ……うっ……!」
どびゅるっ、びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるっっっ!
「んはぅっ! き、きてるっ……ゆうたろうの、あついの……おく……おくまで、きてるぅっ!」
ぶるぶるぶるっ、と、絶頂反応を身体に起こしながら、ひとみは、勇太郎の放った生命エネルギーを胎内いっぱいに浴びせかけられて、その震えが止まらない。
「ひとみっ……ひとみっ……!」
勇太郎もまた、象徴の中に溜めに溜め込んだ生命エネルギーを、全て、愛妻の胎内に振り撒くために、その奥深くまで身を埋め込んで、ほとばしるままに精を放出し続けた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」
生殖活動の一回目が終わり、後背位(バック)で繋がったまま、その余韻に身体を震わせている夫婦であった。
「あは……奥まで、どろっ、て、勇太郎の、いっぱいになってる……」
お腹に手を当てて、振りまかれたエネルギーの濃度を確かめるような、そんな仕草をするひとみ。
「絶対これ……赤ちゃん、できるよ……」
今日が、排卵日の中でも、さらに危険度の高い“超排卵日”だと、日々の計算で把握しているひとみである。
「赤ちゃん、できちゃうんだから……」
「いいんだよ……麻奈と美奈が、言ってたからね……弟が、欲しいってさ……」
「ゆうたろう、は……?」
「僕も、欲しい……ひとみに、もうひとり……僕のこどもを、産んで欲しい……」
「ふふ……」
そのために、熱く淫らに交わったのだ。
後背位(バック)で早速始めて、最後までしたのも、より獣に近い格好でセックスをすることで、動物としての本能が刺激されて、着床の可能性を高めようという、何処かで目にした“妊娠法”を試してみたからだ。
「これで、終わり……?」
「まさか……夜は、まだ長いよ」
「あ、んっ……」
後背位の格好を解かれ、ひとみは正面を向かされて、勇太郎と正対する。中に出されたものが零れない様に、すぐさま勇太郎は、硬度をいささか失っている自己の象徴をすぐさま、ひとみの中に埋没させた。
「こんどは、この格好でしよう」
「うん……このカッコも、大好き……」
「ひとみ……愛してるよ……」
「うふ……私も……愛してる……ん、んんっ……」
湧き上る愛情そのままに、二人は唇をむさぼりあう。“正常位”はお互いの身体を抱き締めあって、身体を密着させながら愛の行為に没頭できるのがたまらない。
「んっ、んんっ……んぅっ……ゆうたろう……ゆうたろう……」
「ひとみ……ひとみ……うっ……くうっ……」
そのまま、生殖活動の第二回目に突入する、性に熟練した勇太郎とひとみの、おしどり夫婦であった…。