童貞と肉便器-1
売店のテーブルでは軽食と飲み物を前に、小太り青年とおもろい夫婦が撮ったばかりの写真を剛田に見せて話が弾んでいる。
浴場の掃除と脱衣籠の片付けを済ませた珠子が、バスタオルを片手にようやく温泉のある峡谷から上がってきた。
「あんら、ねえちゃん、ご苦労様、あっはっはっ、いま写真見てたとこや」
「おうっ、黒澤さんおつかれ、掃除までやってもらって悪い悪い、なんか飲むべか?」
剛田は席を立ち、珠子をねぎらってなにか作ってあげようと食堂の奥の厨房に入っていった。
手にしていたバスタオルを回収箱に入れると、珠子はスニーカーと首から提げた身分証明カードのみの真っ裸のまま、テーブルの席に座った。
[あっし温泉案内、うまくできたっすか?」
「ええやん、楽しい温泉ガイドやったで、あっはっはっ、なぁとうちゃん、ここ寄って良かったな、ホンマ」
すでに小太り青年のデジカメで撮った写真は剛田のノートパソコンにもコピーされており、画面に大写しになっていたのは最後に撮ったおもろい夫婦と珠子の3ショットだった。
湯に浸かる夫婦は、オバちゃんのおっぱいは見えているものの下半身は湯の中で、二人の間のその後ろには縁に腰掛けてVサインしている珠子の姿が。
もちろん、脚を押っ広げてまんこの中身もバッチリ写っていた。
「この写真、ケータイ用にしてくれて、うちらも貰ろたわ」
「ほんま、恥ずかしいわぁ、あっはっはっ、ちょっと見せられへん、いややわぁ」
オバちゃんの言葉とは裏腹に、ちっとも恥ずかしそうな素振りは見えない。
「今日はおおきに、ありがとうさん、そろそろ暇するわ」
奥から珠子のためのジュースを持ってきた剛田は、
「そっかそか、ありがとうございました。また機会があったら、峡谷割目温泉においでくださいよ、がっはっは」
「あはは、また萬郷村観光課の黒澤がご案内するっす!」
珠子は真っ裸のままなのを気にすることなく、そのまま外に出て車に乗り込んだおもろい夫婦を見送る。
大きく手を振っていると、夫婦の車とすれ違うように工事用のダンプやトラックがバス停の前を通過していった。
「ひょう!」
「なんだ、あれ」
次々に運ちゃんがビックリして全裸の珠子を凝視し、クラクションを鳴らして冷やかして走り去る。
「大サービスだね、てへへ」
後ろで夫婦を見送っていた小太りの青年は、あっけらかんとした珠子の様子もすっかり慣れていた。
「バスの時間まではまだちょっとありますね」
「ここに上がってきて服着てるときにバスいっちまったからなぁ、まぁ、ゆっくりしてけや」
小太り青年は奥のロッカーの前でバッグにデジカメをしまい、特急券の再確認など帰る支度をしていた。
「とりあえず、今日中に東京に戻れればいいんですから、てへへ、黒澤さん、サービスして真っ裸のままだし」
「あはは、あっしは好きで裸でいるだけっすから」
珠子は奥のロッカーの前の小太り青年の側に来て、
「特急の時間は大丈夫っすか? こっち電車の連絡悪いっすから」
手にした特急券の時刻を覗き込むように、真っ裸の珠子が密着して小太り青年の手に豊満な乳房が触れる。
「やっべ、また立っちゃうよ、まずい、てへへ」
珠子はきょとんとして顔を赤くした小太り青年の見つめ、やがてにっこり満面の笑顔で、
「だったら、しよっか? 黒澤と」
「え!? ええっ?」
「黒澤のおまんこ使っていいっす」
「ちょ、そ、それは、なんてこと」
「あ、すんません、デブでグロマンじゃダメっすね」
笑顔がちょこっと残念そうな表情に。
「違う違う、そうじゃなくって、それに、そんな大きな声で」
「剛田さん? おっちゃんに聞こえても大丈夫っすよ。でも、無理にとかじゃないっすから、あはは」
「そうじゃなくって、あの、そういうのは」
「ホントすんません、黒澤したくなっちゃったから、さっきにいさんのオナニー見てて、あはは」
小太り青年は予想外の展開に戸惑いながらも、食堂の剛田にの様子をうかがいながら、おどおどするばかり。
「そうじゃなくって、ま、あ、その、僕まだしたことないから、童貞だし」
困った表情で額から汗を垂らして、せっかくの誘いをうまくさばけない自分がもどかしい。
「あ、そっか、そうっすよね、あっしみたいなアホなデブってのが最初ってのはねぁ、あはは」
「全く違う、そうじゃない、ここのサイト見て、わざわざ黒澤さんに会いに来たんだし」
「だったら、しよ! あっし、デブの肉便器っす。大丈夫! あっしのまんこで良かったら使って」
珠子は小太り青年の腕を引っ張って、食堂の土間の奥の座敷に。