ある盗撮犯の独白-2
ワイはなぁ……今入院してるんや。しかも警察病院やでぇ。
怪我が治れば改めて逮捕されることになってるんや。
まあ、聞いてや。ワイはいつも通りに抜かりなくやってたんや。
ワイはターゲットの姉ちゃんをあまり絞らない。
それも捕まらないコツだって言いましたよなぁ?
それであるショッピングモールのエスカレーターでたまたま、地味なミニスカの姉ちゃんの背後についたんですわ。
そのときは、クレイマー相手に謝ってる電話の振りをしてたんやなぁ。
「すみません、今ちょっとテナントに向かってますのでいったん切って掛けなおしますので、それでよろしいでしょうか?」
そう言って、切る振りをして一回盗撮してポケットにしまったんや。
ただ電話を切ってポケットにしまうだけの動作に見えるように熟練しているので絶対分かる訳がないんやけど、そのときターゲットが反応したんや。
視線じゃなくて背中からなんか寒い気のようなものがワイの体前面に浴びせられたんよ。
ワイは気味悪くなってエスカレーターから降りるとすぐ下りのエスカに乗って地下駐車場に逃げたんや。
そして、ワイは写した画像を確かめたんや。
ワイは、その画像を見たとき心臓が止まるか思った。
まるで心臓に5寸釘を打ち込まれたみたいに衝撃を感じた!
その姉ちゃんはパンティを履いてなかったんや。
でもなぁ、そのむきだしの股ぐらには性器もなかった。
性器の代わりにあったのは、顔みたいなものやったんよ。
だって、縦皺だらけで何がなんだか良くわからんかったけどなぁ。
はっきりしてるのが、目玉みたいなのが2個ついてて、こっちを見ていたってことなんや。
そのとき、画像を見たショックで分からんかったけど、誰かがワイの背後に足音もなく近づいていたんや。
ワイの背中に何かぞっとする寒気のようなものが突き刺してきたからようわかった。
ワイは恐る恐る後ろを振り返った。できれば振り返りたくなかったんよ。
でもなぁ、ワイは壁に向かって立っていたから逃げるわけにも行かなかったんや。
そしたら髪の長い姉ちゃんが立っていたんや。
始めはわからんかったが、それはワイがついさっき盗撮した姉ちゃんだった。
着ている服やミニスカでわかったんや。
その姉ちゃんはきれいな顔してたけど、色は青ざめていて血の気がないような感じだった。
能面のように無表情な顔で口だけ動かして、こう言ったんや。
「姉の写真、削除してください」
ワイは口をパクパクして何か言おうとしたけど、何も言えなかったんだ。
ショックで言葉が出て来んかったんよ。
その姉ちゃんはワイの携帯をひったくると、ちょんちょんと押して削除したみたいだった。
そして携帯を返すとその姉ちゃんがまた無表情な顔で言ったんや。
「姉から、あなたに話があります」
そう言うとその姉ちゃんはクルッと背中を向けてから急にブリッジをしたんよ。
ワイは怖くて足がすくんで動けなかった。
こういうのを金縛りっていうんやよなぁ。
その姉ちゃんは体が驚くほど柔らかくてすごい急角度でブリッジして、顔をこっちに逆さに向けたんよ。
そしてその位置から逆立ちして、靴を履いたまま足の先でワイの頭を挟んだんや。
そしてグリグリッとワイの頭を恐ろしい力で締め付けると膝を曲げてむき出しの股ぐらを10cmくらいのところまでワイの顔に近づけてきたんや!
いったいその姉ちゃんの足の関節がどうなってるんかわからんけど、股が大きく広がったんで、股ぐらの縦皺が伸びて、その恐ろしい顔がはっきり見えたんよ。
ワイは自分の歯がカチカチ言って、震えが止まらないんがわかったよ。
その顔は女の顔らしいんやけど、ものすごい醜い顔やったんや。
いつも太腿に挟まれて潰されているから美しい顔になる訳はないやなぁ。
目玉が飛び出ていて白目のところが充血していた。
それで皺っぽい口を開けると尖った歯がまばらに生えていて、なんか地の底から聞こえるようなしわがれた声で言ったんだ。
「アタシ……の顔……そんなに見たいかい……」
ワイは首を横に振った積りやったけど、がっちり足で押さえられているからビクとも動かんかった。
「良いか……このこと誰かに喋ったら……お前の顔の肉を全部食べてやるぞ……わかったか?」
ワイは頷いた積りやった。けど、頭はビクとも動かなかったんや。
言葉で喋りたくても、自分の舌が乾いてどこにあるかもわからないような感じやった。
すると次にもっと怖いことを言ってきたんや。
「それが冗談じゃない証拠に……顔の皮を一枚剥いでやる」
「ひゃぁぁぁぁっっ!!」
その女は長いヤスリのようなザラザラした舌を出して、ワイの顔の皮膚を削り始めたんよ。