『SWING UP!!』第11話-1
第11話
「CONFLICT 〜相剋〜」
今更な話になるのだが、“隼リーグ”における1部リーグの競技形式について、確認をしようと思う。
まず、1部リーグに所属する6チームが総当りで、前期と後期に分けて1試合ずつ対戦する。リーグ戦の試合は、9回完全決着で延長戦はない。そして、勝利したチームには試合内容如何に関わらず、勝ち点が“3”、引き分けの場合は両チームに勝ち点が“1”と、それぞれ与えられる。
前期と後期は、それぞれの勝ち点によって優勝チームが表彰されるが、“甲子園球場”で開催される“東西日本一決定戦”(通称・関ケ原シリーズ)の出場資格ともいうべき“総合優勝”は、全ての試合の勝ち点によって計算される。
勝ち点が同点となった場合は、プレーオフによって勝敗を決する。当然ながら、プレーオフには延長戦がある。
試しとして、昨季の“隼リーグ”にそれを当てはめて、計算をしてみよう。
【前期】
1位:仁仙大学 4勝1分 (勝ち点13)
2位:法泉印大学 3勝2分 (勝ち点11)
3位:城南第二大学 3勝1敗1分(勝ち点10)
4位:櫻陽大学 2勝3敗 (勝ち点 6)
5位:星海大学 1勝4敗 (勝ち点 3)
6位:享和大学 0勝5敗 (勝ち点 0)
【後期】
1位:法泉印大学 4勝1分 (勝ち点13)
2位:仁仙大学 3勝2分 (勝ち点11)
3位:櫻陽大学 3勝2敗 (勝ち点 9)
4位:城南第二大学 2勝1敗2分(勝ち点 8)
5位:星海大学 1勝4敗 (勝ち点 3)
6位:享和大学 0勝4敗1分(勝ち点 1)
【総合成績】
1位:法泉印大学 7勝3分
(勝ち点24)※プレーオフにて勝利。
2位:仁仙大学 7勝3分
(勝ち点24)※プレーオフにて敗退。
3位:城南第二大学 5勝2敗3分(勝ち点18)
4位:櫻陽大学 5勝5敗 (勝ち点15)
5位:星海大学 2勝8敗 (勝ち点 6)
6位:享和大学 0勝9敗1分(勝ち点 1)
混戦著しい状況が続いていた“隼リーグ”だが、昨季は、法泉印大学と仁仙大学が、頭一つ抜けた強さを発揮して、優勝争いをしていた。一方、“世紀の大混戦”と言われた一昨季の優勝大学であった星海大学は、大黒柱であった左腕エースの“帆波猛”を始め、主力選手が一斉に卒業してしまったため、相当の苦戦を強いられることになった。
法泉印大学も、仁仙大学も、設立当初から“隼リーグ”に参加している中にあって、まだ総合優勝を経験したことがない。その意味では、双方共に、“初優勝”の好機を得たことになる。
強打者・六文銭孝彦の活躍などで、前期こそは優勝した仁仙大学だったが、法泉印大学との2試合はいずれも引き分けに終わり、そして、勝てば優勝が決定したはずの最終戦では、不覚にも、最下位である享和大学とも引き分けてしまった。終盤まで2点をリードしていたが、優勝を意識したためか、エラー絡みでその2点を追いつかれてしまったのだ。