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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第10話-46

 
 シャワーを浴びて、当然ながら二人で洗いっこをして、身体と髪を拭きあって、部屋に戻る。
 睦まじい光景はその後も続き、大和が自身にスキンを被せて、“正常位”の格好で、桜子の中に己を挿入した後も、余り激しく動かずに、キスやボディタッチを何度も繰り返して、たっぷり30分は時間を費やして、心の底から二人は愛し合った。
「桜子…」
 スキンの中に二度目の放出を果たした大和は、そのまま身体を桜子にもたれかける。
「大和…」
 桜子はそれを受け止めて、大和の頭を自分の胸に押し当てた。いわゆる、“乳枕”である。
 桜子は、大和にいっぱい甘えてもらいたかった。それが、“おっぱい”を強調したような今日の睦みあいに繋がっていたのだ。
「………」
 大和は黙って、それでも嬉しそうな雰囲気で、桜子の“おっぱい”に顔を埋めたまま、抱きついてきた。
 赤ん坊を胸に抱き締めると、こういう感覚なのだろうかと、桜子は漠然と思う。なんて幸せな感覚なのだろうとも…。
 それ以上の幸せを感じているのは、桜子の“おっぱい”に顔を埋める大和である。名状しがたい感触にくるまれて、このまま眠ってしまいたい衝動に、駆られている。
 桜子の“おっぱい”に、大和は間違いなく“イチコロ”になっていた。
「いいよ、大和。このまま、眠っても、いいよ」
「う……ん……」
 答の代わりに、大和はしばらくすると、静かな寝息を立て始めた。随分と心を消耗する試合をしていたのだろう。大和が今見せている、無防備な姿は、桜子に心の全てを許している証でもある。
 桜子はふと、試合のことを思い出した。大和が、突如として崩れてしまった、あの瞬間を…。
(あの人が、出てからだ…)
 水野葵という、女投手がマウンドに立った瞬間、大和の様子は激変した。もうそれだけで、桜子は大和に何が起こったか察することが出来た。
 だいぶ前のことになるが、ラブホテルに初めて二人で入ったとき、当然ながら初めての経験で落ち着きのない桜子を、大和は、随分と余裕をもってエスコートしてくれた。つまりは、彼にはもうその“経験”があったということだ。どれだけの期間かわからないが、大和の隣に誰かが立っていて、それも、かなり濃密な関係だったと推し量ることが出来る。
 ひょっとしたら、その相手とは…。
(でも、そんなことは、関係ない)
 大和の過去に、誰かの存在があって、そして、その誰かとなにがあろうとも、自分は大和のことが大好きだ。たとえ、その過去に出逢うことがあったとしても、気持ちを決して、揺るがせにしたりはしない。
「ン……さくらこ……さくら、こ……」
「!」
 早々とレム睡眠に達している大和の、睡眠下での呟きだ。彼は確かに、自分の名前を呼んでくれた。今彼が、深層心理の中でも必要としてくれているのは、自分の名前だったのだ。
「大和……!」
 愛しさが募り、彼の身体を少しだけ強く抱き締める。
 心の底から、彼のことを守り、愛してあげたいという、熱い想いが桜子の中で湧き上る。
「愛……うん。大和、あたし、あなたのこと、愛してる……」
 好き、を遥かに越えた、尊きその感情…。
「愛してるよ、大和……」
 大和の過去と交錯する中で、桜子は、はっきりとした“愛”の芽生えを、その胸の奥深くに宿していた。



 −続−



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