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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第11話-71

「? 桜子?」
 不意に、押し黙ってしまった桜子の様子が気になって、大和は彼女の方を見た。
「ん……」
 唇が真一文字になっていて、一方で、腰の辺りがなにやら落ち着いていない。
「えっと……」
 その様子を見れば、いま、桜子が何を催したかは、一目瞭然であった。
 大和は周囲を見遣る。悲しいかな、公衆のそれは見当たらない。大体が、神社の入り口に備えられているものだから、当然といえば、当然だろうが…。
「桜子、その、保ちそう?」
 思い起こしてみれば、階段を含めて、結構な距離を、本殿までは歩いてきた。
「……ダメ、かも」
 桜子は、腰の動きを隠そうとはしていなかった。“モジモジ”と、明らかに“尿意”を我慢している仕草で、困った様子をしている。
「仕方、ないか……」
 大和は別の意図を持って、もう一度、周囲を見渡した。幸い、身を隠せるような背の低い木立もそこかしこにあり、問題はなさそうだった。
 あとは、桜子次第、というところなのだろうが…。
「……ここで、お花を摘ませていただきます。神様、ごめんなさい」
 うつむき加減に、顔を真っ赤にして、桜子はそう言っていた。生理現象には、抗いようがない。
 桜子は、見渡したとある木立の一角に視線を注ぐと、大和の手を引いて、その場所に移動していった。
「さ、桜子?」
 まさか、自分も一緒に動くことになるとは思わず、大和は珍しくも狼狽した声を挙げる。
「だって、暗くて、怖いんだもん……」
 ひとりで行くには、少し闇が深かった。場所が場所だけに、怪談が苦手な桜子は、大和にも近くまでご同行をお願いしたかったのだろう。
「そこで、うしろ、向いててくれれば、それでいいから……」
 恥じらいはあれど、大和ならいい、と、桜子は思っていた。
「わ、わかった」
 大和はすぐさま、繋いでいた手を離し、桜子に背を向ける。
「ごめん、ね」
 それを確認してから、桜子は数歩、大和から離れた場所に立つと、浴衣の裾を持ち上げて、それを帯の中にまず入れた。そして、肌襦袢の裾も持ち上げて、太股を大気に晒して、薄桃色のショーツに手をかけて、それを膝の辺りまで引き下ろした。
「………」
 そのまま、桜子は、用を足すためにしゃがみこんだ。
(お外でこんなことするの、“あの時”以来だよぉ……)
 外で用を足す、という行為に、桜子は顔が熱くなる。どうしても、思い出すことがあったからだ。
 …時に、であるが。
 桜子には、自分の中で“三大恥”として、今でも恥ずかしく思っている出来事が三つある。
 ひとつは、おねしょがなかなか直らなかったことで、もうひとつは、とある事情で家のトイレが使えず、小学生高学年にもなって、大きい方の粗相をしてしまったことだ。
 そして、語られず残されていた最後の“大恥”が、中学生のときの下校途中で、やむをえず、“野外排泄”をしてしまったことだった。それも、大きい方を、である。


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