夏の1日と彼の優しさ?-29
それは、決して美咲を軽んじての発言ではない。美咲が弱くないのを知ってるからこそ、許しを請うような猛の台詞に美咲は何も言えずに目を逸らした。しかし、その頬が微かに染まっているのを見て猛は微笑み美咲の頭から手を離した。
猛の手が離れて名残惜しい、そう感じてしまった美咲は咄嗟に猛を見るが微笑む猛を見て結局はまた目を逸らしてしまう。
「…勝手にすれば」
「おう、そうする」
電車の中でもしたこのやりとり。だけどその時以上に2人の距離が縮んだのを確かに感じて美咲と猛は心の内が温かくなるのを感じていた。
***
それから5人はそれぞれにプールを楽しみ、陽が傾く頃には遊び疲れて帰る準備をしていた。
そして女子更衣室の中。
「…美咲ちゃん、いいなぁ」
「何の話?」
「スタイルの話だよ。何食べたらそんな風になれるの?」
「何って言われても…って棗!どこ触ってるの!」
「あら、美咲はココが弱いのかしら」
「きゃうっ?何で春香まで!」
「美咲ちゃんて肌の張りも艶もいいしスタイルもいいし…胸は春香の方があるけど」
「女の価値は胸じゃないわよ?」